一口に「ハチの巣」と言っても、そこに住み着くハチの種類によって危険性や対処法は大きく異なります。私自身、自宅に巣を作っていたのはスズメバチでしたが、調べる中でアシナガバチやミツバチなど他のハチとの違いも学びました。ここでは、代表的なスズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの習性や巣の特徴、それぞれの駆除方法について解説します。自分の家にできた巣がどのハチによるものかを見極め、適切な対処を行いましょう。
スズメバチの場合
特徴:スズメバチは日本で最も危険なハチです。体長30〜45mmにもなる大型種(オオスズメバチなど)を筆頭に、鮮やかな黄色と黒の警戒色を持ち、非常に攻撃的な性質があります。巣は灰色がかったマーブル模様のボール状で、外側に厚い紙のような層(外被)に覆われています。初期は小さな丸い巣ですが、シーズン終盤にはバレーボール大にも達することがあります。巣の場所は軒下や樹上、床下、時には地中(クロスズメバチなど)にも作ります。働きバチは巣を刺激すると集団で攻撃し、複数回刺してくるのが大きな脅威です。毒性も強く、毎年多くの重傷者や死亡例が報告されています。
駆除の難易度:スズメバチの巣の駆除は最も危険で難易度が高いです。専門の防護服や器具なしに近づくのは自殺行為と言えます。私も素人ながら一度巣に棒で触れてしまい、即座に刺されてしまいました。スズメバチ相手には、プロの害虫駆除業者でさえ細心の注意を払います。駆除の際は夜間に行う、完全防備をする、事前に近隣に知らせるなど万全の体制が必要です。
駆除方法:基本的には業者に依頼するのが賢明です。業者は防護服を着込み、強力なハチ専用の殺虫剤を巣に噴射してハチを駆除します。その上で巣を取り外し、中の幼虫や女王バチまで確実に処理します。高所の場合ははしごや高所作業車を用いることもあります。自分で行う場合のポイントは前述の「自力駆除の注意点」で詳しく述べましたが、要は夜間に遠距離から殺虫剤を十分量かけることです。それでも一匹でも生き残ったスズメバチに反撃されれば命に関わるため、リスクは非常に高いです。スズメバチの巣を見つけたら、「自分で何とかしよう」と考えず、まずは専門家に相談することを強くおすすめします。
アシナガバチの場合
特徴:アシナガバチはスズメバチ科ではありますが、スズメバチ亜科とは異なるグループで、体長15〜25mm程度とスズメバチより細身でやや小型です。名前の通り後ろ足がスラリと長く、飛ぶときに足をだらんと垂らしてゆっくり飛ぶのが特徴です。体色は黄色と黒または茶色と黒で、種類によって模様は異なります。巣はシャワーヘッド状とも形容されるように、六角形の蜂の巣構造がむき出しで丸い平板状をしています。外被で覆われず、巣穴(育房)が下向きに並んだ構造が露出しているのが見分け方です。軒下の隅、ベランダの天井、庭木の枝先など、比較的開放的な場所に小ぶりの巣を作ります。コロニーの規模は数十匹程度とスズメバチより少なく、攻撃性もやや低いです。人が近づいただけで襲ってくることは稀ですが、巣を刺激すると防衛本能で刺してくるので油断は禁物です。
駆除の難易度:アシナガバチはスズメバチほど危険ではないとはいえ、刺されれば激痛を伴い、場合によってはアナフィラキシーを起こすこともあります。そのため慎重さは必要ですが、駆除のハードルはスズメバチより低めです。私が依頼した業者の話でも、「アシナガバチの駆除は防護服なしでもできる場合があるが、スズメバチは絶対防護服が必要」と言っていました。巣が小さいうちなら一般の方でも対処可能なケースが多いようです。実際、ホームセンターで殺虫スプレーを買って自分で駆除したという話もよく耳にします。
駆除方法:アシナガバチの場合、自力駆除も選択肢に入ります。方法としてはスズメバチと同様、夜間に懐中電灯を赤くして静かに接近し、ジェット噴射式殺虫剤を巣にかけるのが基本です。巣の規模が小さければスプレー数秒でほぼ壊滅させられます。その後巣を棒で落とし、回収処分します。昼間でも、巣から出入りする働きバチが少ない午前中の涼しい時間にスプレーする方法を推奨する資料もありますが、安全面を考えればやはり夜の方がリスクは低いでしょう。防護服まではいかなくとも、長袖長ズボン・手袋・帽子・眼鏡などできる限り肌を守る装備をしてください。もし自信がなければ無理せず業者にお願いしましょう。費用はスズメバチ駆除より安価な傾向で、例えば軒下の小さな巣1個なら1〜2万円程度で対応してくれる業者も多いようです。
ミツバチの場合
特徴:ミツバチは「蜂蜜を作る蜂」として知られる養蜂でもおなじみのハチです。体長は10〜15mmほどで丸みを帯びた体型、茶色と黒の縞模様です。性格は比較的大人しく、攻撃性は低いです(ただし巣を守るときは刺すこともあります)。巣はワックス状の材料(蜜蝋)で作られ、自然環境では木の洞や軒下の隙間など密閉に近い空間に作ります。都市部では家屋の壁裏や床下に入り込んで巣を作ることもあります。ミツバチの巣は外から見えにくく、蜂が出入りする様子で存在に気付くことが多いです。春先には分蜂(ぶんぽう)といって女王バチが新しい住処を求めて大量の働きバチと一時的に塊になってぶら下がる現象もあります(分蜂群)。
駆除・対処の考え方:ミツバチは環境に有益な昆虫で、絶滅が心配される一面もあるため、可能であれば殺さず駆除(移動)することが望ましいです。もし庭木に分蜂群が留まっているだけなら、養蜂家や養蜂組合に連絡すれば無料で引き取ってもらえる場合もあります。実際、地域の掲示板で「蜂の分蜂を捕まえて欲しい」という依頼が出て、養蜂をやっている方が持って行った例もあります。
駆除方法:屋根裏や壁の中に巣を作られてしまった場合は、専門業者に依頼して駆除・撤去するのが確実です。ミツバチ駆除の場合、業者によっては蜂ごと巣箱に回収してどこかで放す(つまり殺虫剤を使わず移設する)対応をしてくれることもあります。一方、対応が難しい場合や安全のため殺虫処理せざるを得ない場合は、入口に殺虫剤の煙を焚き込むか、巣のある場所に穴を開けて薬剤を注入するなどして駆除します。ミツバチは刺すと一度しか針を使えず死んでしまうため、積極的に攻撃してくることはあまりありませんが、駆除作業では何百匹もの蜂が飛び回るため防護服は必要です。
注意点:ミツバチに刺された場合、針が皮膚に残りますので速やかに抜いてください(逆に言えば、残っていればミツバチ、残っていなければスズメバチかアシナガバチの刺し跡という見分け方にもなります)。ミツバチの毒性はスズメバチほど強くないですが、アレルギー反応には注意が必要です。また、駆除後は蜂蜜や巣の残骸が屋内に残ると腐敗して悪臭や二次的な害虫を呼ぶこともあるため、巣ごと撤去することが大切です。業者に頼む場合は壁の修繕費などが別途かかることもあるので、見積もり時に確認しておきましょう。
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以上、3種類のハチについて見てきました。それぞれ習性も巣の形も違えば、最適な対処法も違うことがお分かりいただけたと思います。自宅のハチがどの種類かによって、業者に頼むべきか、自力で可能か、殺虫剤で駆除すべきか捕獲すべきかといった判断も変わります。例えば、小さなアシナガバチの巣なら私も次は自分で処理できるかもしれませんが、スズメバチなら二度と自分では手を出さないと決めています。皆さんも、目の前のハチの習性に合わせて最善の方法で駆除に臨んでくださいね。