広告のクリック率(CTR)は業界によって大きく異なります。ここでは業界別のCTR平均値をランキング形式で確認し、それぞれの業界での成功事例やポイントを紹介します。自社の属する業界の傾向を把握し、戦略策定の参考にしてください。
業界別CTRランキング(概要)
CTRが高い業界トップ3(検索広告ベース)
- 出会い系・マッチングサービス – 約6.0%(ユーザーの関心が強く即時性が高いため非常に高いCTR)
- 旅行・観光 – 約4.7%(旅行先検索などニーズが顕在でクリックに結びつきやすい)
- 教育・職業訓練 – 約3.8%(資格取得や学校検索など目的が明確な層が多い)

CTRが低い業界ワースト3(検索広告ベース)
- テクノロジー(IT) – 約2.1%(専門的な内容で一般ユーザーの興味を惹きにくい)
- BtoB(企業間サービス) – 約2.4%(対象ユーザーが限定的でクリック母数が少ない)
- 家具・インテリア – 約2.4%(購買検討に時間をかける傾向がありクリック率控えめ)

※上記はあくまで一例で、同じ業界内でも広告の種類や訴求内容によってCTRは変動します。またディスプレイ広告やSNS広告では異なる傾向が現れる場合があります。
それでは、代表的な業界ごとに平均CTRの水準と、CTR向上に成功した事例を見ていきましょう。
EC業界(電子商取引)のCTRと成功事例

平均CTR傾向: EC(電子商取引)業界の検索広告における平均CTRはおおよそ2.5~3%前後で、全業界平均と同程度かやや低めです。例えばWordStreamの調査ではEC業界の検索CTR平均は約2.69%、ディスプレイCTR平均は約0.51%と報告されています。ECは扱う商品カテゴリーによってCTRが変わりやすく、ファッション系では高め、工業用品系では低めなどばらつきがあります。また、季節セールやキャンペーン時には通常時よりCTRが上がる傾向があります。
CTR成功事例: 大手ECサイトでは、ユーザーの購買データを分析してパーソナライズ広告を配信することでCTRを大幅に向上させた事例があります。具体的には、閲覧履歴に基づき関連商品の広告を表示したところ、汎用的な広告に比べてクリック率が向上しました。また別のケースでは、深夜帯にスマホから購入しがちなユーザー層に絞って広告を配信した結果、同業界平均比でCTRが約40%増加したとの報告があります。このようにEC業界では、ターゲティング精度とレコメンド力を高めることでCTR改善につなげることが可能です。
ポイント: ECの場合、広告クリエイティブに商品画像や価格、送料無料などの訴求点を盛り込むとCTRが上がりやすいです。また在庫状況や残り個数を表示することで緊急性を演出し、クリックを後押しするテクニックも有効です。
BtoB業界のCTRと成功事例

平均CTR傾向: BtoB(企業向けビジネス)業界のCTRは全体的に低めで約2~3%未満が一般的です。例えばソフトウェアや業務支援サービスなどBtoB向けの検索広告平均CTRは約2.41%と、消費者向け業界に比べると低い水準です。これは、広告の対象となる企業担当者が限られるうえ、意思決定に時間がかかるためすぐにクリックされにくいことが一因です。ディスプレイ広告でも0.4~0.5%程度と控えめな数字になります。
CTR成功事例: BtoB企業では、大量のクリックよりも質の高いリード獲得が重視されますが、CTRを高めつつ見込み客を増やした例もあります。例えば、あるソフトウェア企業では一般的な製品紹介広告ではなく、ターゲット業界別の課題解決コンテンツ(ホワイトペーパー)を訴求する広告に切り替えました。すると、自社製品名を前面に出した広告よりもCTRが向上し、クリックしたユーザーのコンバージョン率も高まる成果がありました。これは、ユーザー視点で価値のある情報提供にフォーカスした結果と言えます。
別の事例では、LinkedIn広告を活用して明確に職種・役職で絞り込んだキャンペーンを実施し、ムダなクリックを減らしつつCTRを維持したまま有望リード数を増やすことに成功しています。BtoBでは母集団が小さい分、的確なメッセージと精密なターゲティングがCTR改善の鍵となります。
ポイント: BtoB業界でCTRを上げるには、「専門性の高さ」を逆手に取り、専門知識や業界トレンドに触れるようなコンテンツを提示してクリックを促す方法が有効です。またケーススタディや顧客事例を広告文に含め、信頼性を示すことでも興味を引きやすくなります。
金融業界のCTRと成功事例

平均CTR傾向: 金融・保険業界の広告CTRは平均2.5~3%前後と、中間的な水準です。WordStreamデータでは金融/保険業界の検索広告CTR平均は約2.91%、ディスプレイ広告CTR平均は約0.52%と報告されています。金融分野はユーザーが慎重になる傾向からクリック率は爆発的には高くなりにくいですが、ローンやクレジットカードなど具体的な商品領域によってはCTRのばらつきがあります(例:クレカ比較広告は高CTR、BtoB向け金融サービスは低CTRなど)。
CTR成功事例: 金融業界では信頼性と具体性がCTRを左右します。あるオンライン証券会社では、「取引手数料〇〇%OFF」「新規口座開設で〇〇円プレゼント」といった具体的な数字と特典をヘッドラインに入れたところ、CTRが大きく向上しました。ユーザーはメリットが明確だと行動を起こしやすいためです。また、保険会社B社ではディスプレイ広告に安心感のあるビジュアルと「無料でプロに相談できます」というコピーを入れてCTR改善に成功しています。これは提供価値をシンプルに伝えた好例です。
一方で、金融広告は規制も多く誇大表現ができないため、ユーザーの関心事に寄り添った訴求が重要です。住宅ローンなら「毎月の返済額を〇〇円減らせる方法」、資産運用なら「初心者でも始められる少額投資」など、ターゲットの悩みやニーズを捉えたテーマを広告にすることでクリック率が上がる傾向があります。
ポイント: 金融系では安心感の醸成がカギです。「金融庁登録済」「創業○年の実績」など信頼できる要素を盛り込むとクリックにつながりやすくなります。また専門用語は避け、ユーザー目線の言葉でメリットを語ることで興味を引きやすくなるでしょう。
不動産業界のCTRと成功事例

平均CTR傾向: 不動産業界の広告CTRは検索広告では比較的高め(3~4%台)で、ディスプレイ広告では全業界中トップクラス(~1%前後)です。具体的には検索広告の平均CTRが約3.71%、ディスプレイ広告では約1.08%というデータがあります。不動産は物件画像など視覚的インパクトが大きく、ディスプレイ広告であってもユーザーの目に留まりやすいため、バナーCTRが他業界より高い傾向が見られます。【賃貸】や【新築分譲】などユーザーの関心が強いキーワードでは検索CTRも高くなります。
CTR成功事例: 不動産ポータルサイトの事例では、リターゲティング広告(一度サイトを訪れたユーザーに物件広告を配信)によって高いCTRを記録しました。具体的には、ユーザーが閲覧した物件の写真と価格を含むバナー広告を後日SNS上で表示したところ、類似の新規ユーザー向け広告よりもクリック率が倍以上に伸びたとのことです。これは興味を持った物件情報をタイミングを変えて再提示することで、思い出してクリックしてもらえた好例です。
また、不動産会社C社では検索広告の広告文に「駅徒歩5分以内」「今月成約〇件突破」など具体的な魅力を織り交ぜ、CTR改善に成功しました。特にユーザーが重視する条件(駅近・築浅・ペット可など)をタイトルに入れるとクリック率が上がりやすいようです。
ポイント: 不動産広告ではビジュアルの力が大きいです。魅力的な写真や間取り図、動画ツアーなどを活用し、ユーザーに物件をイメージさせる工夫がCTR向上につながります。さらに「残り〇件」「価格更新!」など緊迫感を持たせるメッセージも有効で、閲覧者の行動を促進できます。
アプリ業界(モバイルアプリ)のCTRと成功事例

平均CTR傾向: モバイルアプリ関連の広告(アプリインストール広告など)のCTRは媒体によって差が大きいですが、検索広告では平均約3%程度と報告されています。一例として、モバイルアプリ企業のGoogle検索広告における中央値CTRは2025年2月時点で約3.15%とのデータがあります。SNSやディスプレイで配信されるアプリ広告の場合、0.5~1.0%程度が一般的な水準です。ただしゲームアプリやマッチングアプリなどカテゴリによっては非常に高いCTRを記録するケースもあり、ユーザーの関心度と広告クリエイティブ次第で大きく変動します。
CTR成功事例: アプリ業界で注目すべきは、インタラクティブな広告手法によるCTR向上の事例です。例えば、あるモバイルゲームではプレイアブル広告(実際にミニゲームのように操作できる広告フォーマット)を導入したところ、通常の動画広告に比べCTRが大幅に増加しました。実際、モバイルゲーム分野ではアプリ内広告のクリック率が11%を超えるとの報告もあり、ユーザーが体験できる広告は高いエンゲージメントを生み出しています。
また、マッチングアプリD社はSNS広告でターゲットを細分化し、それぞれに響くクリエイティブ(例:「20代向け」「30代以上向け」などビジュアルとメッセージを変える)を配信しました。その結果、どの層にも一律の広告を出すよりCTR・CVRともに向上しています。これはアプリの訴求ポイントをユーザー属性ごとに最適化した成功例です。
ポイント: アプリ広告でCTRを上げるには、動画・操作体験・口コミ評価などリッチな情報提供が有効です。静止画1枚よりも動画プレビュー、テキストよりも星評価やユーザーレビューを見せる方がユーザーの興味を引きます。アプリストアへの直接誘導の場合は、評価点やダウンロード数を広告に表示して信頼性を訴求するのも良いでしょう。ユーザーに「試してみたい!」と思わせるクリエイティブがCTR改善の鍵です。
各業界でCTRの平均と事例を見てきましたが、自社の属する市場におけるユーザーの関心ポイントを見極めることが重要です。業界平均はあくまで目安として、自社ではそれを上回ることを目標に施策を実行していきましょう。また、業種に関係なく有効な手法(広告文の工夫やターゲティング最適化など)は積極的に取り入れ、クリック率アップにつなげてください。
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