SaaS企業が新規顧客とのアポイント(商談機会)を獲得する方法は、大きく分けてインバウンド(顧客流入型)とアウトバウンド(顧客開拓型)の2つに分類できます。それぞれ手法も特徴も異なり、自社の状況によって適切な戦略を選ぶことが重要です。本記事では、SaaSビジネスにおけるアポ獲得戦略としてのインバウンドとアウトバウンドを徹底比較し、そのメリット・デメリットや効果的な活用法を解説します。自社にとって最適なSaaSアポ獲得戦略を見極め、効率よく新規商談を増やしましょう!
インバウンド戦略とは:顧客からのアクションを引き出す
インバウンド(Inbound)戦略とは、見込み顧客の方から問い合わせや資料請求、デモ申し込みなどのアクションを起こしてもらうことで商談につなげる手法です。平たく言えば「顧客に見つけてもらう」戦略です。具体的には、ウェブサイトのコンテンツマーケティング、SEO対策、ホワイトペーパーの提供、ウェビナー開催、SNS発信、口コミ紹介、広告からのリード獲得など、多岐にわたります。SaaS企業ではトライアル提供やフリーミアムモデルで興味を引き、ユーザー登録から営業アプローチにつなげるのも一般的なインバウンド手法です。
インバウンドのメリット
- 質の高いリード: 自ら情報を求めてアクションした顧客は課題意識や興味が高く、アポイント設定への前向き度も高い傾向があります。いわゆる“ホットリード”を獲得できるため、商談に進む確率や成約率も高くなりやすいです。
- ブランド強化につながる: 有益なコンテンツ提供やコミュニティ形成などを通じて顧客との信頼関係を構築でき、長期的なブランドファンを増やす効果もあります。ただアポを取るだけでなく市場からの信頼を醸成できる点は、大きな資産となります。
- 効率的なコスト構造: インバウンドは初期にコンテンツや仕組みに投資すれば、その後は半自動的にリードが入ってくるため、1件あたりのリード獲得コスト(CPA)が抑えられる場合があります。特にSaaSのようにスケーラブルなサービスでは、コンテンツがヒットすると多数のリードを生むことも珍しくありません。
インバウンドのデメリット
- リード獲得まで時間がかかる: SEOで上位表示したり、コンテンツが認知されて安定した流入を得るには、往々にして数ヶ月~1年以上の時間を要します。短期的に商談が必要な場合には間に合わないこともあります。
- 初期労力・コストが必要: 質の高い記事や資料の作成、広告運用には時間と費用がかかります。リード獲得までの間、成果が見えづらい中で継続投資する忍耐が求められます。
- コントロールしづらい面も: 顧客側の自主的行動に委ねる部分が大きいため、「今月あと10件アポが欲しい」と急に思っても、即座にリード数を増やすのは難しいです。また、流入してくるリードの質や属性も千差万別で、狙ったターゲットから来るとは限りません。

アウトバウンド戦略とは:こちらから働きかける攻めの営業
一方、アウトバウンド(Outbound)戦略とは、こちらから積極的に見込み顧客にアプローチして商談機会を創出する手法です。平たく言えば「こちらから見つけに行く」戦略です。具体例としては、テレアポ(電話営業)、飛び込み訪問、ターゲット企業へのメール送信、SNSでのダイレクトメッセージ送付、DM(ダイレクトメール)などがあります。近年では、特定のターゲット企業に対して複数の手段でアプローチするABM(アカウントベースドマーケティング)もアウトバウンドの一種と言えます。
アウトバウンドのメリット
- 即効性がある: リストアップさえできれば、明日からでも電話やメールでアプローチを開始できます。新製品リリース直後に一気に市場にアプローチしたい時や、今四半期中に商談数を増やしたい時など、スピードが要求される場面で威力を発揮します。
- ターゲットを絞り込める: アウトバウンドでは自社が「会いたい」と思う理想顧客に直接アプローチできるため、戦略的にターゲットを選定できます。例えば「上場企業100社に絞って営業をかける」といった集中攻勢が可能で、狙った大口顧客との接点も作りやすいです。
- フィードバックが早い: アウトバウンドでは顧客の生の反応をリアルタイムで得られます。「その課題は今優先度が低い」「予算が合わない」といった声を直接聞けるため、プロダクト改善や営業トーク修正に素早く活かすことができます。また、経験豊富な営業代行会社にアウトバウンドを依頼すれば、そのノウハウを通じて市場の反応を把握することも可能です。
アウトバウンドのデメリット
- 拒否される確率が高い: いわゆる「冷たい」状態の顧客に連絡を取るため、門前払いも日常茶飯事です。特にテレアポでは平均成功率が1~2%程度と低く、数多く打席に立つ必要があります。担当する営業には強いメンタルと粘りが求められます。
- 人的コストがかかる: アウトバウンドは人海戦術になりがちで、一定の人員と稼働時間を費やす必要があります。社内にSDR(営業開発担当)チームを置く場合は人件費がかさみますし、外部のアポ代行サービスを利用する場合も件数に応じた費用が発生します。
- アプローチが難しい層もいる: 電話に出ない、メールも読まない忙しい経営層ほど、アウトバウンドで掴まえるのは簡単ではありません。リーチする手段を工夫しないと、一方的な発信が空回りに終わるリスクがあります。また無闇な連絡はブランドイメージを損ねる可能性もあるため、慎重な計画が必要です。

インバウンド vs アウトバウンド:どちらを選ぶべきか?
結論から言えば、インバウンドとアウトバウンドはどちらもSaaS企業の成長に欠かせない両輪です。ただし、自社のステージやリソースによって、比重のかけ方は変えるべきでしょう。
スタートアップや新規参入時: まだ知名度が低くコンテンツ資産も少ない創業初期は、インバウンドだけで十分なリードを得るのは難しいでしょう。この段階ではアウトバウンドに注力し、短期間で市場からフィードバックを得つつ、初期顧客を獲得することが現実的です。創業メンバー自らが電話やメールでアプローチしたり、必要に応じてSaaS特化型のアポ代行サービスを活用してでも、まずは商談創出に全力を挙げるべきです。
成長期・拡大期: プロダクトが市場に受け入れられ始め、多少のブランド認知が出てきたら、インバウンドにも本腰を入れるタイミングです。コンテンツマーケティングチームを強化し、リードジェネレーションの仕組みを整えましょう。ただし、だからといってアウトバウンドをゼロにする必要はありません。特にエンタープライズ向け大口案件や特定業種への展開など、戦略的に攻略したい領域があれば、専任のアウトバウンドチーム(もしくは外部パートナー)を置いて攻め続けることが有効です。インバウンドで広く浅くリードを集めつつ、アウトバウンドで狙い撃ちするというハイブリッド戦略が理想的です。
成熟期: ブランド力が確立し、問い合わせやトライアル申込みがコンスタントに入ってくるようになれば、インバウンドが営業パイプラインの大部分を占めるでしょう。この段階ではアウトバウンドは補助的な位置づけになるかもしれません。しかし、新機能の訴求や既存顧客へのアップセル、あるいは休眠客の掘り起こしなど、特定の目的でアウトバウンド戦術を用いる場面は引き続き存在します。市場環境や競合状況の変化に応じて、再度アウトバウンドを強化する必要が出てくる可能性もあります。
要するに、状況に応じたバランスが大切なのです。インバウンドとアウトバウンドは対立する二者択一ではなく、相互に補完し合う関係にあります。インバウンドで獲得したリードに対し、インサイドセールス部隊がフォローコールを入れる(アウトバウンド的要素)こともありますし、アウトバウンドでアプローチした相手が後日自社サイトを訪問して問い合わせにつながるというケースもあります。

まとめ:両戦略を駆使して持続的なアポ獲得を
SaaS企業のアポ獲得戦略として、インバウンドとアウトバウンドの双方を理解し使いこなすことは、安定した商談パイプラインを維持する上で欠かせません。インバウンドの“育てる”戦略とアウトバウンドの“攻める”戦略を状況に応じて組み合わせることで、それぞれの長所を最大限に享受できます。
「待ち」と「攻め」を両立させることで、市場環境の変化にも強い体制が築けるでしょう。リードが潤沢な時期にはインバウンド中心で効率よく商談化し、リードが不足すればアウトバウンドを増強して新規開拓を補う。このようにダイナミックに戦略の舵を切ることで、SaaSビジネスの成長エンジンであるアポイント獲得を絶やすことなく回し続けることができます。
最後に、もしアウトバウンド施策にリソースを割きにくい場合や専門知識が足りない場合は、SaaSアポ代行の活用も一つの手です。プロフェッショナルな外部チームにアウトバウンドを任せつつ、自社はインバウンド基盤の強化に注力するという役割分担も可能です。自社に最適な戦略バランスを見つけ、持続的な商談創出によって競争優位を築きましょう。
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