EC業界の直帰率平均はどれくらい?
ECサイトにおける直帰率の平均値は、一般的に約50%前後とされています。調査によって若干ばらつきがありますが、例えば47%程度から54.5%程度の範囲で報告されることが多いようです。全業界平均が約55%前後であることを考えると、EC業界の直帰率は平均的な水準と言えるでしょう。
とはいえ、ECと一口に言ってもサイトの種類や扱う商材によって直帰率は変わります。ファッション系ECサイト(アパレル・靴など)のように商品回転が早く購買意欲の高いユーザーを集めるサイトでは直帰率が特に低く、35.8%といったデータもあります。一方、集客経路によってはもっと高い直帰率になるECサイトもあります。たとえばSNS広告で興味本位の訪問者を多く集めた場合などは、一見だけで帰る人が増え直帰率が高まることもあります。
他業界との比較: ECサイトの直帰率50%前後という値は、他の業界と比べて中間的なポジションです。旅行サイトのように平均80%を超える極端に高い例もあれば、不動産サイトのように40%程度と低い例もあります。ECはその中間に位置し、直帰率の高さが特段の弱点でも強みでもない業界と言えます。ただし競合他社のECサイトと比べて極端に直帰率が高い場合は、自社サイトのユーザビリティや集客キーワードのミスマッチなどに問題がある可能性があります。
ワンポイント: 直帰率だけでECサイトの成功/失敗は判断できません。ECでは直帰せずに複数ページ見ても、結局購入に至らなければ意味がないからです。しかし、直帰率が高すぎるサイトでは購入機会以前にユーザーを逃している可能性があるため、やはり改善する価値があります。

他の業界と比べたECサイトの特徴
ECサイトの直帰率に影響を与える要因を、他業界との違いを踏まえて考えてみましょう。
- 商品探索行動: ECサイトではユーザーは商品を探すために複数のページを閲覧する傾向があります。トップページ→カテゴリページ→商品ページ…と進むうちに少なくとも2~3ページは見るケースが多く、これが直帰率を押し下げる要因です。他方で、ユーザーが最初のページで「欲しい商品がない/高い」と判断した場合、そのまま離脱(=直帰)につながります。つまりユーザーの期待とのマッチ度が直帰率に直結しやすいのがECの特徴です。
- 購買意欲の強さ: ECサイト来訪者の購買意欲は、他業界サイトの訪問者と性質が異なります。例えば情報収集目的のBtoBサイト訪問者に比べ、ECの訪問者は「良さそうな商品があれば買いたい」というモチベーションを持っていることが多いです。そのため、興味を持てば複数の商品ページをじっくり比較検討します(=直帰しにくい)。一方で興味を惹けなければ即離脱する厳しさもあります。直帰率50%前後という数字は、そのような興味のあるユーザーとないユーザーが半々いる状況とも言えます。
- サイトの種類: 同じECでも、自社ECサイトと楽天市場などのモールではユーザー行動が異なります。自社ブランドECサイトではブランドストーリーやコンテンツに興味を持って複数ページ巡回するユーザーもいますが、モール内のショップページでは「商品をカートに入れるか去るか」の二択になりやすく直帰率が高めになる傾向があります。このようにECサイトのタイプによっても直帰率は変動します。
以上を踏まえ、ECサイトの直帰率は「ユーザーの期待に応えられているか」「サイト内でスムーズに商品探索できているか」を映し出す鏡と言えます。他社より高い直帰率に悩んでいる場合、次に紹介する施策で改善できる可能性が高いです。
ECサイトの直帰率を改善する具体的施策
ECサイトで直帰率を改善するための具体的な施策を紹介します。ポイントは、ユーザーが興味を失わず次のページに進みたくなる工夫を凝らすことです。
- サイト表示速度の向上: 商品画像が多いECサイトではページ読み込みが遅くなりがちです。前述の通り表示が遅いと直帰率が大幅に悪化します。画像の圧縮やコンテンツの遅延読み込みなどでサイトスピードを改善しましょう。特にモバイルでは速度が命です。
- 検索・ナビゲーションの強化: ユーザーが求める商品に素早くたどり着けるよう、サイト内検索やカテゴリ分類を充実させます。例えば検索バーを分かりやすく配置し、絞り込みフィルターも用意することで、ユーザーは他のページに遷移しやすくなります。探しにくいサイトは「もういいや」とすぐ離脱されてしまうため、UX面の改善は直帰率低下につながります。
- 商品ページの充実(画像・動画・レビュー): テキストだけの商品説明だと興味を惹き続けるのは難しいです。高品質な画像を複数掲載したり、商品紹介動画を埋め込むことでユーザーの関心を維持しましょう。実際、関連する画像や動画をコンテンツに含めることで訪問者のエンゲージメントが高まり、直帰率を下げられると指摘されています。加えてユーザーレビューやQ&Aを載せることで情報量を増やし、「もっと詳しく読んでみよう」と思わせる効果も期待できます。
- 関連商品のおすすめ表示: ユーザーがある商品ページを見たら、その下部やサイドバーに「関連商品」「この商品を見た人はこんな商品も購入しています」といったブロックを配置しましょう。興味にマッチする別商品への導線があると、ついクリックして別ページも見てもらいやすくなります。Amazonなど大手ECでおなじみの手法ですが、自社ECでも有効です。ユーザーがサイト内を回遊するほど直帰率は下がり、購買機会も増加します。
- 信頼感・安心感の訴求: 初めて訪れたECサイトだと、ユーザーは「信頼できるお店かな?」と不安になる場合があります。その不安を和らげてじっくりサイト内を見てもらう工夫も直帰防止に有効です。具体的には、サイト内に実店舗の情報や会社概要を載せる、第三者認証マーク(例:SSLセキュア、〇〇協会加盟など)を表示する、あるいは実際の購入者のレビューやSNSでの高評価を紹介する等です。こうした社会的証明を示すことで訪問者の信用を得て、すぐ離脱せず次の行動へ誘導しやすくなります。
- 明確な次のアクション提示: 商品ページを見終わったユーザーに対し、「で、次は何をすればいいの?」と思わせない工夫も必要です。「カートに入れる」「お気に入りに登録」「資料請求する」などのCTAボタンを分かりやすく配置しましょう。せっかく興味を持っても、そこで手詰まりになれば離脱されてしまいます。CTAによってユーザーをうまく次のページ(カートページやフォーム画面など)に誘導できれば、直帰を防ぎつつコンバージョンに近づけます。
これらの施策を組み合わせて実行することで、ECサイトの直帰率は着実に改善できるはずです。特に表示速度改善とナビゲーション最適化はすべてのECに共通する重要施策なので、まだ取り組んでいない場合は優先しましょう。

成功事例・失敗事例【ECサイト】
最後に、ECサイトの直帰率改善に関する具体的な事例を紹介します。
- ✅ 成功事例: アメリカのとあるギフトショップECサイトでは、サイト構成の見直しとSEO強化によって大きな成果を上げました。ブログ記事の質向上や在庫管理の改善など総合的な施策を講じた結果、オーガニック検索流入が248%増加し、新規ユーザーも236%増加。それに伴い直帰率を93%も削減(大幅改善)することに成功しています。直帰率が劇的に下がったことでサイトの収益も大きく向上しました。この事例では、サイトのコンテンツ充実とUX改善がいかに直帰率に効くかを示しています。
- ❌ 失敗例(よくあるケース): 一方、ECサイトで陥りがちな失敗として、ナビゲーションや在庫情報の不備があります。先ほどの事例でも課題となっていましたが、在庫切れの商品が多いのにその情報が分かりづらかったり、サイトのメニュー構造が複雑で欲しい商品にたどり着けないと、ユーザーはフラストレーションを感じてすぐ離脱してしまいます。特にスマホで閲覧したときに操作しづらいUIだと顕著です。「直帰率が高い=ユーザーが不満や不便を感じたサイン」と捉え、サイト上のボトルネックを放置しないことが重要です。
上記の成功事例から学べるのは、「ユーザー視点でサイトを徹底的に改善すれば直帰率は改善できる」ということです。逆に失敗例が示すのは、「ユーザーがつまずくポイントを放置すると直帰率は悪化する」ということです。自社ECサイトでも、ユーザーの離脱理由を仮説検証しながら地道に改善を積み重ねることが直帰率低下につながります。
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