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主要MAツールの詳細比較:各種ツールの違いと選び方

主要MAツールの詳細比較:各種ツールの違いと選び方

記事の内容

中小企業がマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する際、どのツールを選ぶべきか悩む方は多いでしょう。特にBtoB企業では、自社の営業プロセスやマーケ戦略に合ったMAツールを選定することが重要です。そこで本記事では、主要なMAツール5種(HubSpot、Marketo、Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)、SATORI、b→dash)を中心に、機能・価格・操作性の違いや導入事例、BtoB企業での使い分けポイントを徹底比較して解説します。マーケティング担当者として熱意を持って選び抜いた情報をお届けしますので、ぜひ自社に最適なツール選定の参考にしてください。

MAツール市場と主要ツール一覧

まずは国内におけるMAツール市場の状況と、主要なMAツールの一覧を押さえておきましょう。現在、国内シェアNo.1は国産の「BowNow」で、次いでSalesforce社の「Marketing Cloud Account Engagement(旧称:Pardot)」が2位、3位にHubSpot、4位Marketo、5位に国産のSATORIが続きます。つまり外資系ツール・国産ツールそれぞれに強みを持つ製品が競合している状況です。

MAツール国内シェアのイメージ(2023年11月時点)。国産「BowNow」が22.8%でトップシェア、以下「Account Engagement(Pardot)」17.0%、HubSpot12.7%、Marketo8.4%、SATORI6.0%と続く。中小企業向けの低価格ツールからエンタープライズ向け高機能ツールまで、多彩な製品が存在する。

代表的なMAツールの特徴を一覧にまとめると以下のようになります。

ツール名月額費用目安(※)ターゲット領域導入企業数 (目安)特徴・強みの概要
HubSpot Marketing Hub無料プランあり・約96,000円~BtoB・BtoC両方約194,000社以上海外シェアNo.1。CRM統合や無料版から開始でき手軽。使いやすさ◎
Salesforce Pardot
(Account Engagement)
約150,000円~BtoB中心非公開Salesforceとシームレス連携しマーケと営業の融合を実現。B2B特化
Adobe Marketo Engage非公開(要問い合わせ)BtoB・BtoC両方非公開マルチチャネル対応でリード管理からABMまでカバー。機能豊富で拡張性高い
SATORI (国産)約148,000円~BtoB中心約1,500社匿名リードの育成に強み。国産ならではの直感的UIと日本企業への適合性
b→dash (国産)非公開(要問い合わせ)BtoC中心約600社以上データ統合・加工をノーコードで実現。顧客データプラットフォーム的な活用も可能

(※料金はプランや時期によって変動あり。上記は2023年末時点の情報)

上記以外にも、BowNow(無料プランあり・月額1万円台~)やList Finder(月4万円前後~)といった中小企業向け低価格ツール、SHANON MARKETING PLATFORM(月12万円~)やOracle Eloqua(要問い合わせ)などのエンタープライズ向けツールも存在します。まずは主要ツールの特徴を把握し、自社のマーケティング規模や目的に合った候補を絞り込むことが大切です。

自社のマーケティング規模や目的に合った候補を絞り込むことが大切

各MAツールの特徴と違い

それでは、主要MAツールそれぞれの機能面の特長やメリット・デメリット、導入事例などを詳しく見ていきましょう。BtoB企業での使われ方に注目しつつ、ツールごとの個性を紹介します。

HubSpot(ハブスポット)

HubSpotは全世界で20万社近くに導入されている、マーケティングオートメーション機能付きの統合型CRMプラットフォームです。無料版からスタートできる手軽さと、専門知識がなくても使いやすい直感的なUIが支持されています。インバウンドマーケティング(コンテンツを活用した見込み客の獲得育成)に強く、マーケティング、セールス、カスタマーサービスまで一貫して支援できるのが魅力です。

  • メリット:使いやすさ抜群で、メール配信・フォーム作成・スコアリングなどMAの基本機能が一通り揃っています。CRMやCMS(Webサイト構築管理)との連携もシームレスで、見込み客データを営業まで活用しやすい設計です。また、日本語にもかなり対応が進んでおり、日本の中小企業でも導入ハードルは低くなっています。無料プランや低価格プランが用意されているため小規模でも試しやすいのも利点です。
  • デメリット:本格的に活用しようとすると機能を拡張する有料プランが必要になり、月額費用が高額になるケースがあります。高機能ゆえに全てを使いこなすには時間がかかり、また基本的に海外製品のため一部英語のままの画面やサポート情報も存在します。ただし近年は日本語サポートも充実してきています。

導入事例:HubSpotは特に中堅BtoB企業での導入が多く、例えばITサービス企業で「問い合わせ件数が3倍に増加し、営業成約率も向上した」といった成功事例が報告されています(※具体的な社名非公開のケース)。そのほか、Webマーケティングに力を入れるスタートアップから大企業まで幅広く採用されており、「誰でも使える手軽なMAツール」として世界的な支持を得ています。

Marketo(マルケト)

Marketo(現:Adobe Marketo Engage)は、MAツール黎明期からある業界トップクラスの高機能ツールです。1日に数百万件規模のユーザー行動データも処理でき、大企業の高度なマーケティングにも耐えうる拡張性・安定性を備えています。BtoB・BtoC問わず利用可能ですが、特にBtoBのリードナーチャリングやスコアリング、さらにABM(アカウントベースドマーケティング)などにも対応しており、マーケティングプロセス全体を細かく設計・管理できるのが強みです。

  • メリット:機能が非常に充実しており、大量の見込み顧客データ管理、複雑なシナリオ分岐のキャンペーン、自動化ルールの柔軟な設定などが可能です。他社ツールと比較してカスタマイズ性や連携性も高く、自社のマーケティングプロセスに合わせた細やかな運用ができます。Adobe傘下となったことで他のAdobe製品(解析ツールなど)との統合も進んでいます。
  • デメリット:多機能ゆえに操作が複雑で習熟に時間がかかる点は注意が必要です。専門知識を持った担当者や支援パートナーがいないと、宝の持ち腐れになりかねません。また基本的に英語圏で発展してきたツールのため、日本語の情報がやや少なく、サポートやコミュニティで英語対応が必要になる場面もあります。価格も公表されておらずユーザーの声として「コストが高い」と言われることが多いように、中小企業には予算面のハードルが高めです。

導入事例:Marketoは主に大企業や成熟したマーケティング組織で導入されています。例えば外資系製造業での導入では、世界中のリード情報を一元管理し、スコアリングにより見込み度の高い顧客のみ営業に渡す仕組みを実現。これにより営業効率が飛躍的に向上したケースがあります。またIT業界ではイベント参加者へのフォローアップや長期ナーチャリングにMarketoを活用し、商談創出件数を倍増させた事例も報告されています(いずれもMarketo公式サイトの導入事例より)。高機能ツールを使いこなす体制があれば極めて強力な武器となるでしょう。

Pardot(パードット)※現:Account Engagement

Pardot(パードット)はSalesforce社が提供するBtoBマーケティング向けMAツールで、現在は正式名称を「Salesforce Marketing Cloud Account Engagement」といいます(以下、旧称のPardotで記載)。Salesforce CRMとネイティブに統合できる点が最大の特徴で、営業(Sales)とマーケティング(Marketing)の連携を強力に支援します。

  • メリット:Salesforce CRM上で動作するため、見込み顧客データから商談・売上データまで一元管理できます。マーケ部門が育成したホットリードを即座に営業にアラート通知し、フォローして商談化…といった一連の流れをスムーズに実現できます。またUIや操作感もSalesforceに慣れている企業には取り入れやすく、レポート機能も充実しています。BtoB企業で「営業とマーケの密なコラボ」を目指すなら有力な選択肢です。
  • デメリット:Salesforce環境前提のため、Salesforceを利用していない企業には魅力が半減します。他のCRMと連携する場合もAPI等で可能ですが、やはり真価を発揮するのはSalesforceユーザーです。また機能面ではMarketoほど自由度は高くなく、どちらかといえばシナリオはシンプルです。その分使いやすいとも言えますが、高度な施策を求めると物足りない可能性があります。価格は中~高価格帯で、利用ユーザー数に応じた課金もあるため中小企業にはやや重く感じられるでしょう。

導入事例:PardotはITサービス業や製造業などBtoB企業での採用が多く、特に既にSalesforce Sales Cloudを使っている企業に導入が進んでいます。例えばあるIT企業では、Pardot導入により新規リードに対するメール施策の開封率が向上し、商談化率も20%アップ。また製造業では営業が見逃していた見込み客情報をPardotでスコアリング管理することで、休眠顧客から年間数千万円の追加受注を獲得したケースもあります。「営業とマーケの橋渡し役」として成果を上げている企業が多数あります。

SATORI(サトリ)

SATORIは日本生まれのMAツールで、「匿名マーケティング」というコンセプトを提唱し、まだ問い合わせに至っていない匿名の訪問者を顧客化する仕組みに強みを持ちます。例えばWebサイト上でCookieなどを用いて匿名ユーザーの行動履歴を蓄積し、興味を示したタイミングでポップアップや広告、メールアプローチすることで顕在化させる、といったマーケ施策が可能です。国産ツールゆえに日本企業の商習慣に合わせて開発されており、UIも日本語で直感的に操作できます。

  • メリット:見込み客の育成(リードナーチャリング)にフォーカスした機能が充実しています。特に、匿名リードのデータも蓄積・活用できる点はユニークで、問い合わせや資料請求以前の潜在層を育てられます。また完全国内開発のため、日本語サポートは手厚く、画面表示やレポート項目も日本企業になじみやすい内容です。導入社数は1,500社を超え、近年テレビCMに女優の上戸彩さんを起用するなど知名度も向上しています。
  • デメリット:マーケティング部門が中心となる施策(見込み客発掘〜育成)には強い一方で、インサイドセールス用途には不向きとの指摘もあります。つまり、問い合わせ後の商談創出プロセスや架電フォローなど営業的なアプローチ部分は別途CRMやSFAとの連携が必要です。また価格帯は月額15万円前後〜と国産としては高めであり、初期費用も発生します。機能が豊富な分、導入・運用コストは中小企業には負担になる可能性があります。

導入事例:SATORIは製造業や人材サービス業などBtoB企業での採用が目立ちます。例えば老舗メーカーでは、SATORI導入後に匿名客へのアプローチ強化で月1件だった新規問い合わせが月5件に増加し、メール施策から15件の案件創出にも成功しました。また人材サービス企業では、求人サイト訪問者の行動データをSATORIで捕捉してメールでフォローし、休眠登録者の再エンゲージメントに繋げた例があります。日本企業のきめ細かな顧客対応にフィットしやすいツールと言えるでしょう。

b→dash(ビーダッシュ)

b→dashはフロムスクラッチ社(現株式会社データX)が提供する国産オールインワンマーケティングプラットフォームです。MAツールとしての機能に加え、データマネジメントやBI(データ分析)、広告配信連携など幅広いマーケティングデータ活用機能を備えている点が特徴です。特にBtoCビジネスで、顧客の購買データや行動履歴を統合分析し、One to Oneのマーケティングに活かしたい場合に真価を発揮します。

  • メリット:ノーコードでデータ統合・加工ができ、CRM/POS/ウェブなど様々なデータソースを一元管理できます。その上でメール・LINE配信やシナリオ設計も行えるため、顧客データプラットフォーム(CDP)+MAのようなオールインワン環境が手に入ります。マーケター自身がSQL等を書かずに分析ダッシュボードを作成できる点も評価されています。大規模データの活用に耐えるスケーラビリティも備えています。
  • デメリット:高機能ゆえに初期設定や運用には専門知識が求められる場面があります。「使いこなすのに相応のトレーニングが必要」と指摘されており、マーケティングデータ分析のスキルが社内にない場合はハードルとなりえます。また料金は問い合わせベースで、公表されていませんが比較的高額だと推測されます。中小企業にはオーバースペックになる可能性もあるため、自社の目的に機能が合致するか慎重な見極めが必要です。

導入事例:b→dashは小売・アパレル、EC、金融などBtoC業界での導入が中心です。例えばアパレルメーカーの事例では、b→dash上で会員データと購買履歴を統合管理し、ステータス(購買段階)に応じたシナリオメールを配信。その結果、メール受信者の約3分の1が実際に購入に至るという高いコンバージョン率を記録し、新規事業の立ち上げ成功に貢献しました。BtoB企業での活用例としては、商社が複数部門にまたがる取引先データをb→dashで統合し、部署横断の提案メール配信でクロスセル売上を伸ばしたケースがあります。大量データを資産化してマーケティングに活かしたい企業に適しています。

BtoB企業におけるMAツールの使い分けポイント

以上のように各ツールには得意分野や適した企業規模があります。最後に、BtoB企業がMAツールを選ぶ際の使い分けのポイントをまとめます。

  • 予算規模と必要機能で選ぶ:マーケ予算に限りがある中小企業でまず検討したいのは、BowNowやHubSpotのように低価格で始められるツールです。リード管理やメール配信など必要最低限の機能に絞ったBowNowは、初めてのMA導入に最適でしょう。逆にマーケティング高度化を目指すならMarketoのような多機能ツールが候補ですが、その場合は予算・人的リソースに余裕があるかを確認してください。
  • 営業との連携重視なら:インサイドセールスや営業部門と密接に連動したい場合、Pardotが有力です。既存でSalesforceを利用していれば迷わず候補に入れましょう。営業が少人数でマーケ担当が広く支援する体制の場合も、Pardotで営業支援の自動化が図りやすいです。一方、SATORIはマーケ施策特化型で営業支援機能は弱いため、営業連携の部分はCRMやSFAを組み合わせる必要があります。
  • 国内サポートや日本語対応:外資系ツールは機能面では優秀でも日本語サポートが薄かったり、和訳が一部分かりにくい場合があります。SATORIやBowNowなど国産ツールであれば、問い合わせサポートも含め日本企業向けの丁寧な対応が期待できます。ツールに不慣れな状態で導入するなら、国産で手厚い支援体制のベンダーを選ぶと安心です。
  • BtoBとBtoC、どちらに軸足か:自社が純粋なBtoBであれば、リードナーチャリング主体のHubSpotやSATORI、Pardotなどがフィットします。顧客が企業相手でも大量の個人ユーザー情報を扱う(例:代理店経由で多数のエンドユーザーがいる)場合には、b→dashのようなデータ統合型も検討に値します。逆にBtoC寄り(個人顧客が多い)であれば、最初からb→dashやMarketoなどスケーラビリティ重視で選ぶ方が将来的に安心です。

運用する体制や目的の明確化

「自社に合ったMAツール」を選ぶには、機能比較だけでなく運用する体制や目的の明確化が欠かせません。各ツールの強みを理解しつつ、自社のマーケティング課題を洗い出し、「この課題解決にはこのツールのこの機能が必要だ」とマッチングさせることが大切です。中小企業のWeb担当者の皆さんも、本記事を参考にぜひ最適な一台を選び抜いてください。選んだMAツールを味方につけ、マーケティング成果を飛躍的に向上させていきましょう!

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