競合他社の広告戦略を分析する第一歩は、競合の広告に関するデータ収集です。どんな広告を、どの媒体に、どれだけ出稿しているのか――この情報を網羅的に集めることで、分析の土台が築けます。中小企業でも無料または低コストで使えるツールや手法が多数ありますので、以下に代表的な方法を紹介します。
- 検索エンジンでのリサーチ: 最も基本的なのは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで関連キーワードを実際に検索し、競合他社のリスティング広告(検索連動型広告)が表示されるか確認する方法です。自社の商品・サービスに関係するキーワードをいくつかピックアップし、それぞれ検索してみましょう。競合が出稿している広告文や表示されるURLから、どの企業がどんな訴求で広告を出しているかが分かります。地道な方法ですが、自社が狙っていなかった有力キーワードや競合の主要な広告内容を知る手がかりになります。
- Google広告のオークション分析: すでに自社でGoogle検索広告を出稿している場合は、オークション分析レポートを活用しましょう。これは自社の広告と一緒にオークション(入札)に参加している競合の情報を確認できる機能です。Google広告では競合他社ごとのインプレッションシェアや表示順位の上回り率などを把握できます。例えば、「自社の広告と比較して特定の競合Aの方が〇%の割合で上位表示されている」といったデータが得られます。Yahoo!広告でも同様にオークションインサイトという機能で競合の存在感を確認できます。これら公式ツールを使えば、競合ごとの露出度合いや自社との差を数値で捉えられるため、非常に有用です。
- SNS広告ライブラリの活用: FacebookやInstagramなど主要SNSでは、プラットフォーム側が広告の透明性を高めるために広告ライブラリを提供しています。例えばFacebookの「広告ライブラリ」を使うと、競合他社が現在出稿しているすべての広告を無料で検索・閲覧することができます。広告に使用されている画像や動画、文言まで含めて一覧できるため、競合のクリエイティブやメッセージを詳細に把握可能です。また各広告が配信されているプラットフォーム(FacebookなのかInstagramなのか)も表示されるので、競合がどのチャネルに力を入れているかも見えてきます。同様に、TikTokでも「TikTok Creative Center」というツールで人気の広告例を調べられるほか、Twitter(現X)やLinkedInでも一部広告の公開情報があります。SNS広告ライブラリは無料で使える強力な競合調査ツールなので、該当するプラットフォームで競合企業名や業界キーワードを検索してみると良いでしょう。
- Googleの広告透明性センター(マイアドセンター): 2023年よりGoogleも広告の透明性を強化しており、Google広告の「広告の透明性」機能を使うことで特定の広告主が出稿した広告一覧を確認できるようになりました。方法としては、Google検索結果に表示された広告の右上にある設定アイコン(▽マーク)から「この広告について > 他の広告を表示」と進むと、その広告主が過去に出稿した広告の履歴を一覧表示できます。テキスト広告だけでなくディスプレイ広告や動画広告も含め、期間を指定して絞り込むことも可能です。ただし、表示されるのはGoogleに広告主として身元確認されたアカウントの広告に限られます。競合他社の社名などで検索して広告が出てきた場合は、一度この機能を試してみると良いでしょう。自社では見られない競合のディスプレイ広告クリエイティブなどを発見できることがあります。
- 競合企業の公式情報やその他の調査: デジタル広告以外にも、競合のWebサイトやメールマガジン、SNS投稿などから広告戦略のヒントを得られる場合があります。たとえば競合のサイト上にリマーケティングタグや広告ピクセルが埋め込まれていれば(ブラウザ拡張機能で確認可能)、どの広告ネットワークを使っているか推測できます。また競合のニュースリリースやIR資料に広告予算や方針が記載されているケースも稀にあります。さらに業界レポートや第三者機関の調査で主要企業の広告費用やメディアミックス比率が公表されていれば、自社の戦略策定の参考となるでしょう。無料ツール+手作業でカバーしきれない部分は、有料の競合分析ツール(SemrushやSimilarWeb、国内独自の広告分析サービスなど)の導入も検討できます。それらを使えば競合サイトの流入経路や訪問者属性、さらには競合が入札しているキーワードの推定リストなど、より深いデータを入手可能です。ただしまずは無料で利用できる方法から試し、必要に応じてプロの力やツールを活用する形でも十分対応できます。
データ収集のポイント
競合広告のデータ収集では、「誰が」(競合企業)「どこで」(媒体・チャネル)「何を」(広告内容)「どれくらい」(頻度・量)行っているかを漏れなく拾う意識が大切です。検索結果やSNS、表示される広告のクリエイティブなど、断片的な情報も集めていくと全体像が見えてきます。またデータは最新の状況を反映するよう定期的に収集・更新しましょう。競合の広告戦略は季節やキャンペーン時期によって変化しますので、継続的なモニタリングが有効です。
関連記事
中小企業必見:競合広告戦略分析の重要性と成功に導く実践手法に戻る

無料相談のご案内
競合の広告を調べることで、見えてくる自社のチャンスや改善ポイントがあります。
でも実際には「どこから手をつければ良いか分からない」「ツールが多すぎて選べない」とお悩みの方も多いはずです。
私たちは、そんなWEB担当者の方の疑問や不安に寄り添いながら、実践的な競合広告分析をサポートしています。
まずは以下の無料相談で、現状や課題をお聞かせください。
調査の方向性や、すぐに取り組める改善案などをプロの視点からお話しさせていただきます。