原因の改善策でも触れましたが、ここからはサイト回遊率を高める具体的なテクニックをいくつか紹介します。中小企業のサイトでも実践しやすい方法を中心に挙げますので、自社サイトに取り入れられるものから試してみてください。
内部リンク戦略の最適化
内部リンクとは、サイト内の他ページへ誘導するリンクのことです。内部リンクを適切に配置することで、ユーザーをスムーズに別の関連ページへナビゲートでき、結果として回遊率を高めることができます。
具体的な内部リンク戦略のポイント
- 関連記事セクションの設置: ブログ記事やお知らせページの下部に「関連記事」や「おすすめ記事」の一覧を表示しましょう。ユーザーが今読んでいる内容に関連する記事が並んでいれば、興味を持って続けて別の記事も閲覧しやすくなります。実際、アウトドア情報サイトの例ではページ下部に関連記事や注目記事など複数のコンテンツ枠を配置し、ユーザーの興味に合わせて次々と他記事へ誘導しています。
- コンテンツ内でのテキストリンク: 記事の途中で関連トピックや専門用語が出てきた際に、それを詳しく解説した別ページへのリンクを埋め込むのも効果的です。「詳しくはこちら」「〇〇に関する詳細ページ」といった形で自然に誘導すれば、ユーザーは必要に応じてクリックしてくれるでしょう。記事の各セクションに対応する深掘り記事があれば積極的にリンクさせることで、サイト内を循環しながら理解を深めてもらえます。
- 明確な次のアクションの提示: ユーザーに「次にどこへ進めば良いか」を示してあげることも重要です。例えば製品紹介ページの末尾で「導入事例を見る」「料金プランを見る」といったCTAボタンを配置したり、記事本文の最後で「◯◯についてさらに知りたい方は△△ページもご覧ください」と次のステップを提案したりします。ユーザーを迷わせず次のページへの道筋を示すことで、回遊を促進できます。
- サイト全体のナビゲーション最適化: グローバルメニューやサイドバーに人気コンテンツへのリンクを置く、パンくずリストで上位ページへ戻りやすくする、サイト内検索をわかりやすく設置するといった工夫も有効です。サイトの構造上どこに何があるかを把握しやすくすることで、「他にどんな情報があるのだろう?」とサイト内を探索してもらいやすくなります。
内部リンク戦略を強化する際は、関連性とユーザーの動線を意識しましょう。単にページビューを増やすためだけに無関係なページへ誘導しても逆効果です。ユーザーの興味・関心にマッチしたリンクを設置することで、自然な回遊が生まれます。特に記事コンテンツでは、記事末尾に同カテゴリーの他記事リンクをまとめて配置するなど、ユーザーが今興味を持っているテーマを深掘りできる導線を用意すると効果的です。

コンテンツの改善方法
コンテンツそのものの魅力を高めることも、回遊率向上には欠かせません。ユーザーが「もっと読みたい」「他のページも見てみたい」と感じるコンテンツ作りのポイントを押さえましょう。
- ユーザー課題に沿ったテーマ設定: ターゲットとするユーザーが抱える課題やニーズを洗い出し、それを解決する情報を提供するコンテンツを作ります。ユーザーの関心にマッチしたテーマであれば、別の記事にも興味を持ってもらいやすくなります。「このサイトなら自分の知りたいことが他にも載っていそうだ」と思わせることが大切です。
- 信頼性・専門性の担保: 内容が表面的だと感じたユーザーは他サイトを探しに行ってしまいます。自社の強みや専門知識を活かし、具体的なデータや事例を交えて深い情報提供を行いましょう。権威ある情報源の引用や、自社での実績紹介なども織り交ぜると信頼性が増し、ユーザーは安心して他のページも読む気になります。
- 読みやすい構成: 長文でも見出しや箇条書きで適度に区切られていれば読み進めやすくなります。適切に段落を分け、一文を簡潔にすることでユーザーの負担を減らしましょう。図解やスクリーンショットを交えて視覚的に説明することも有効です(例えば操作手順を画像付きで示すなど)。視認性を高める工夫により、離脱を防ぎつつ次の情報へ誘導しやすくなります。
- コンテンツの定期的な更新: 情報が古いままだとユーザーの信頼を損ない、せっかく他のページを見ても「内容が古いのでは?」と感じさせてしまいます。定期的に記事をリフレッシュし、新しい情報や関連ニュースを追加するようにしましょう。常に最新の状態に保つことで、初めて訪れたユーザーも安心して複数ページ閲覧してくれますし、リピーターにも新たな発見を提供できます。
質の高いコンテンツはユーザーの評価につながり、回遊率のみならずサイト全体の価値向上をもたらします。なお、コンテンツ改善の効果を測定するためにも、後述のユーザー行動データ分析を活用してどのコンテンツがよく読まれているか、どこで離脱が発生しているかをチェックすると良いでしょう。
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UI/UXの最適化
ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の改善も回遊率アップには重要です。サイトの見た目や操作性が悪いと、それだけでユーザーは離脱してしまい、他のページを見てもらう以前の問題となります。以下のポイントに留意して、ユーザビリティの高いサイトを目指しましょう。
- ページ表示速度の改善: 読み込みが遅いと感じたユーザーの多くはページを待たずに離れてしまいます。画像の圧縮やコードの最適化、キャッシュ活用、サーバー強化などで表示スピードを向上させましょう。特にモバイル回線では速度が顕著に影響します。高速表示はユーザーストレスを減らし、回遊継続率を高めます。
- モバイルフレンドリー対応: スマートフォンで閲覧したときに文字が小さすぎたり横スクロールが必要だったりすると、ユーザーはすぐに離脱します。レスポンシブWebデザインを採用し、デバイス問わず見やすいレイアウトになるよう調整しましょう。ボタンのタップしやすさやフォーム入力のしやすさなど細部にも配慮が必要です。モバイルでの快適さは現在特に重要で、ここが不十分だと複数ページ閲覧どころではなくなってしまいます。
- シンプルで直感的なデザイン: 派手すぎる演出や詰め込みすぎた要素はかえってユーザーを混乱させます。シンプルで目的が分かりやすいデザインを心がけ、ユーザーが必要な情報にすぐ辿り着けるUIにしましょう。複雑なアニメーションや大量のポップアップは避け、ナビゲーションメニューやボタンも一目でわかるデザインにすることで、ユーザーはストレスなくサイト内を移動できます。
- 邪魔にならない導線設計: 回遊率を上げたいからといって、ポップアップや過剰なCTAで無理に他ページへのクリックを促すのは逆効果です。ユーザーの閲覧体験を阻害しない範囲で誘導を行うことが大切です。例えば記事を読み終わったタイミングで関連情報を提示する、ページ下部に自然に関連記事一覧が現れる、といったタイミングと配置を工夫しましょう。ユーザー体験を最優先に考えることで、結果的に複数ページを見てもらえるようになります。
実際、あるサイトではコンテンツの追加やプロモーションだけではページ/セッションが伸び悩んでいましたが、UI/UXの改善を行ったところ2ヶ月で平均閲覧ページ数が2倍以上に増加したという報告もあります。これはユーザーがサイトを使いやすく感じれば感じるほど、「もう1ページ見てみよう」という行動が増えることを裏付けています。デザイン改修や使い勝手向上の施策は工数がかかる場合もありますが、回遊率改善のインパクトは非常に大きいため、段階的にでも取り組む価値があります。

ユーザー行動データの分析方法
回遊率を効果的に改善するには、現状をデータで把握し、改善のサイクルを回すことが不可欠です。ここではGoogleアナリティクスなどを用いたユーザー行動データの分析方法を簡単に紹介します。
- 現状の数値を測定: まずGoogleアナリティクス(GA4)等で自社サイトのページ/セッション(回遊率)や直帰率、平均セッション時間などの現状値を確認しましょう。サイト全体だけでなく、ページ単位でも把握することが重要です。GA4では「集客>トラフィックの品質」レポートなどでサイト全体の回遊率を確認でき、また「エンゲージメント>ページとスクリーン」からページごとの指標も見られます(※GAのUIは変更される可能性があります)。
- 課題ページの特定: 回遊率を上げる上でボトルネックになっているページを見つけます。具体的には直帰率や離脱率が特に高いページや、平均ページビューが1前後と極端に低いページを洗い出します。それらのページが「なぜ1ページで去られてしまうのか」を仮設立てする段階です。例えば「コンテンツが弱いのでは?」「リンクの誘導がないのでは?」「読み込みが遅い?」といった要因を考えます。
- ユーザー行動の可視化: 仮説検証のため、必要に応じてヒートマップツールを活用してみましょう。ヒートマップを使えばユーザーがページ内のどこを閲覧・クリックしているかを視覚的に捉えることができます。色の濃淡でユーザーの注目エリアや離脱ポイントが一目で分かるため、「肝心のリンクが気づかれていない」「スクロールされず途中で離脱している」などの課題発見につながります。
- 改善施策の実行: 分析で見えた課題に対して具体的な改善を行います。前述したコンテンツ改善・内部リンク設置・UI修正などから、原因に応じた対策を講じましょう。例えば直帰率が高いページでは関連記事リンクを増やす、内容を充実させる、ファーストビュー(最初に表示される範囲)に他ページへの導線を配置する、といった改善が考えられます。仮説ごとに施策を立てて実装しましょう。
- 効果検証とPDCA: 改善施策を行った後、再度データを計測して回遊率や直帰率の変化を確認します。数値が改善傾向であればその施策は成功ですし、変化がなければ仮説が違っていた可能性があります。効果検証の結果を踏まえて新たな施策を試すなど、継続的にPDCAサイクルを回すことが大切です。一度で劇的に良くならなくても、細かな改善の積み重ねで着実に回遊率は向上していきます。
データ分析により裏付けを取りながら改善を進めることで、「闇雲に手を打ったが成果が出ない」という事態を防げます。特に中小企業ではリソースに限りがありますので、効果の高い施策に絞って集中的に実施するためにもエビデンスに基づく分析は欠かせません。
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