自社だけで試行錯誤するだけでなく、競合他社や業界内で成功しているサイトの事例を研究することも有効です。競合サイトがどのような工夫でユーザーをサイト内に留めているのかを分析し、良い点は積極的に取り入れていきましょう。以下に、参考になる他サイトの回遊率向上施策の例を紹介します。
- Campifyマガジン(アウトドア系メディア): 「キャンプ初心者向け」の記事で検索上位にあるこのサイトでは、ページ下部に関連記事一覧が定番として配置されています。また「注目記事」「特集記事」「おすすめ記事」といった形で複数のカテゴリーからコンテンツへの誘導リンクを設置し、閲覧ニーズに合わせて様々な記事へ遷移できるよう工夫しています。特筆すべきはスマホユーザー向けの配慮で、画面下部にカルーセル形式(横スクロール)の関連記事欄を設けている点です。画面の小さいスマートフォンでも多くの関連情報を見せることができ、ユーザーはスクロールしながら興味のある記事を次々とタップして閲覧できます。こうした導線設計により、モバイル環境でも高い回遊率を実現しています。
- HYAKKEI(キャンプ情報メディア): 同じくアウトドア系の情報サイトであるHYAKKEIでは、記事本文下に「関連する記事」としていくつかピックアップが表示されています。このサイトが工夫しているのはサムネイル画像の見せ方です。キャンプの爽やかな風景や魅力的なアイテムを写した高品質な写真にタイトルテキストを重ねており、視覚的にユーザーの興味を引きつけています。特にスマホでは表示できる関連記事が限られるため、一つひとつの訴求力を高める狙いがあります。結果としてユーザーは思わず他の記事も見たくなり、サイト内を回遊する率が高まっています。

これらの事例から学べるのは、ユーザーの導線を途切れさせない仕組みと魅力的なビジュアル・デザインの活用です。競合サイトを分析する際には、以下の点に注目してみましょう。
- 内部リンクの配置場所と文言: どの位置にどんな形で他ページへのリンクを置いているか(例: 記事下部の関連記事リンク、ページ内のテキストリンク、バナーなど)。
- コンテンツ構成: 長文記事を分割して複数ページにしていないか、シリーズ記事として次の記事へのナビゲーションがあるか、カテゴリーページで関連項目を一覧化しているか等。
- サイトデザイン: 直感的に他ページへ移りたくなるデザインになっているか(例: マウスオーバーで画像が拡大するリンクカード、視認性の高いボタン配置)。
- ユーザー層への最適化: モバイルユーザーが多ければスワイプでコンテンツを見せている、若年層向けならポップな訴求で誘導している等、ターゲットに合わせた工夫が見られるか。
競合の良い施策は真似ることから始め、そこに自社ならではの創意工夫を加えていくと効果的です。ただし闇雲に模倣するのではなく、自社サイトのユーザーにも有効かを見極めて導入しましょう。競合分析の結果も踏まえ、次章では実際に回遊率が改善した具体的な事例を紹介します。
実際の改善事例
最後に、サイト回遊率が向上した具体的な改善事例を一つご紹介します。これは中小企業の事例ではありませんが、ブログサイトのリニューアルによって劇的に回遊指標が改善したケースです。
ある大手ブログメディアでは、サイトのデザインと構造を全面的に見直すリニューアルを実施しました。狙いは直帰率の改善とページビュー(回遊率)の向上です。リニューアル前は直帰率が約82%と非常に高く、1訪問あたり平均1.3ページしか閲覧されていない状態でした。そこでユーザーが着地ページ以外も閲覧したくなるようなデザインを意識して改良を加えたところ、リニューアル後に数値は大きく改善しました。
- 直帰率: 82%だった直帰率が47%まで改善(約42%の相対的低下)しました。初めて訪れたユーザーにも「このサイトには自分の求める情報がありそうだ」と感じてもらえるデザインになったことで、1ページで去られるケースが大幅に減ったと考えられます。
- ページ/セッション(回遊率): 平均1.3ページだったものが2.1ページまで増加し、約53%の向上を達成しました。2ページ以上閲覧してくれるユーザーが飛躍的に増えたことになります。特にリファラル(他サイトからの流入)経由の訪問ではページビュー数が70%も増加する結果となり、SNS等から来たユーザーもうまくサイト内に取り込めるようになったことが伺えます。
この事例が示すように、適切なサイト改善により回遊率は大きく向上し得るのです。デザインや内部リンク、コンテンツ配置を工夫することでユーザーのサイト内回遊行動を喚起し、結果として滞在時間延長やPV増加といった成果に結びつきます。重要なのは、「ユーザー目線でサイト全体を見直し、ストレスなく情報探索できる環境を作ること」です。その積み重ねが数字にも表れてきます。
自社サイトでも、例えば「メニュー構造を見直したら問い合わせ数が増えた」「関連記事を充実させたら平均PVが◯割アップした」といった小さな成功例を積み上げていくことが大切です。そうした成功体験を元にさらに改善を重ねていけば、継続的な回遊率アップとコンバージョン増加が期待できるでしょう。

まとめ
サイト回遊率の改善は、ユーザーエクスペリエンス向上と事業成果(コンバージョン率アップ)に直結する重要な施策です。「ユーザーが次々とページを閲覧したくなるサイト作り」を意識して、コンテンツの拡充、内部リンクの最適化、UI/UX改善、そしてデータ分析による継続的なチューニングを行いましょう。特に中小企業のサイトでは、一人ひとりの訪問者を大切に育てるような視点でサイト改善を進めることで、限られたアクセスから最大限の成果を引き出すことが可能です。
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