自社にフィットした分析をするために、GAをカスタマイズしましょう! Googleアナリティクスには標準レポート以外にも、データを自由に切り口変更したり表示項目を調整できる機能があります。中小企業のサイト運営では、限られたリソースで重要ポイントだけを効率よく見ることが大切です。このページでは、「セグメント機能」と「カスタムレポート」という2つの代表的なカスタマイズ方法について、その使い方と活用例を紹介します。

セグメント設定の活用
セグメントとは、アナリティクス上のデータを特定の条件で絞り込んだ一部集合のことです。全ユーザーの中から「ある共通の特性を持つユーザーだけ」を抜き出して分析したいときに使います。例えば以下の通りです。
- 新規ユーザーセグメント: 初めてサイトに訪問したユーザーだけにデータを絞り込む
- 再訪問ユーザーセグメント: 2回以上訪れているリピーターだけを対象にする
- モバイルユーザーセグメント: スマートフォン・タブレットからのアクセスに限定する
- 地理的セグメント: 日本国内のユーザーだけ/関東地方のユーザーだけ 等
- 特定流入源セグメント: 検索エンジン経由のトラフィックのみ、SNS経由のみ、など
このように切り分けて分析することで、より具体的な傾向やインサイトが見えてきます。たとえば「モバイルユーザーに絞って見ると直帰率が異常に高い、スマホでの表示に問題が?」「リピーターのコンバージョン率が新規より高い、じゃあリピーターを増やす施策を強化しよう」といった発見が可能です。
セグメントの作成方法
Googleアナリティクスでは、画面上部にある「+ セグメントを追加」から簡単にセグメントを適用できます。あらかじめ用意されたデフォルトセグメント(新規ユーザー、直帰セッション、有料トラフィックなど)を選ぶこともできますし、自分で条件を設定してカスタムセグメントを作ることもできます。
カスタムセグメント作成手順(UAの場合)
- レポート画面上で「+セグメントを追加」をクリックし、「新しいセグメント」を選択します。
- セグメントの名前を入力(例:「モバイル&リピーター」など分かりやすい名前)。
- 左側でフィルタ条件を設定します。カテゴリごとに「ユーザー」「セッション」「トラフィックソース」「行動」など細かく条件を指定可能です。例えば「デバイスカテゴリ = mobile」と「ユーザーの種類 = リピーター」を組み合わせれば「モバイルかつリピーター」のセグメントが作れます。
- 条件を設定したらプレビューで対象ユーザーの割合を確認できます。問題なければ保存します。
すると、新しいセグメントが適用され、画面の指標がそのセグメントに属するユーザー/セッションだけの値に切り替わります。複数セグメントを同時に適用して比較表示することも可能です。
セグメント活用例(中小企業向け)
- 地域密着型ビジネスなら「都道府県=自社の都道府県」のセグメントを作り、その地域のユーザーの動向を把握。地域外ユーザーと行動の違いを比較すれば、地元ユーザー向けコンテンツのヒントが得られるかもしれません。
- BtoBサイトなら「平日(月~金)のセッション」セグメントを作成し、土日と比較。平日の方がコンバージョン率が高いなどあれば、平日に合わせた施策(メール配信の曜日など)を検討できます。
- ECサイト運営なら「カートに商品を追加したセッション」セグメントを作り、追加まで至らなかった一般セッションとユーザー行動を比較。カート追加ユーザーは閲覧ページ数が多いなど傾向があれば、その導線強化を図ります。
このようにセグメントは「もし○○なユーザーだけを分析できたら?」を実現する強力な機能です。Googleアナリティクスの豊富なデータから、自社に関係する部分だけを取り出して有効活用しましょう。

カスタムレポートの作成
Googleアナリティクスの標準レポートでは物足りない場合、自分で項目を選んでカスタムレポートを作成できます。カスタムレポートとは、「見たいディメンション(切り口)と指標(数値項目)だけを組み合わせて表示できる」オリジナルのレポートです。必要な情報を一画面にまとめたり、通常のレポートでは見られない組み合わせの分析をしたいときに便利です。
カスタムレポートの作り方
- GA管理画面の左メニュー下部にある「カスタム > カスタムレポート」をクリックし、「+ 新しいカスタム レポート」を選択します。
- レポートのタイトルと、必要に応じてタブ名を設定します(1つのカスタムレポートに複数タブを作り、異なる表示をさせることも可能)。
- 指標(Metric)を追加します。例えば「ユーザー数」「セッション数」「目標1完了数」「直帰率」など、見たい数値を好きなだけ選べます。
- ディメンション(Dimension)を追加します。指標を集計する切り口となる項目です。例えば「流入元/メディア」「ランディングページ」「デバイスカテゴリ」などから選べます。最初に追加したものが一番上位のディメンションとなり、必要に応じてさらに細かい階層ディメンションを追加できます。
- (任意)フィルタを設定して、このレポートで特定のデータだけに限定することもできます。例えば「国 = 日本」だけにする、特定のキャンペーンタグを含むセッションだけ等、セグメントに似た絞り込みが可能です。
- (任意)ビューの選択。複数ビューがある場合、どのビューでこのレポートを使うか指定します。
- 保存するとカスタムレポートが実行され、設定したディメンション×指標の表が表示されます。
カスタムレポート活用例
- チャンネル別コンバージョンレポート: ディメンションに「参照元/メディア」、指標に「セッション数」「目標完了数」「コンバージョン率」を設定すれば、各流入元ごとにコンバージョン状況を一覧できます。標準の集客>全てのトラフィックに似ていますが、自分の目標やKPIに合わせ指標を追加できます。
- ページ×参照元マトリクス: ディメンションに「ランディングページ」と「参照元」を2階層設定、指標に「セッション」「直帰率」を選べば、「どのページにどの参照元から来た訪問が何件、直帰率何%」という分析が可能です。例えば広告流入は特定ページでは直帰率低いが、別ページでは高い、といった発見に繋がります。
- 時間帯分析レポート: ディメンションに「時間帯」、指標に「ユーザー」「コンバージョン数」を設定すれば、1日のうちどの時間帯にアクセスやコンバージョンが多いかが分かります。これを曜日セグメントと組み合わせれば「平日夜に集中」「週末午後に多い」などが見えてきて、広告出稿やSNS投稿の適切な時間帯選定に役立ちます。
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カスタムレポートはこのように自由度が高く、現場の知りたいことに応じて設計できます。示されている通り、自分の欲しい項目だけを表示できるので、定期レポートの効率化にも有用です。一度作成したカスタムレポートは保存されるので、以降ワンクリックで最新データを確認できます。また、同僚とレポートを共有する機能もあるため、社内で共通の指標モニタリングに使うこともできます。
注意点: あまりに多くの指標や複雑なディメンションを入れすぎると、かえって見にくくなります。カスタムレポートは「目的に絞ってシンプルに」作るのがポイントです。最初は既存の標準レポートをベースに「この項目もあれば便利なのに」という視点で追加・改良してみるとよいでしょう。
カスタマイズ機能を中小企業が活用するメリット
中小企業のウェブ担当者は、多くの場合他業務と兼任でサイト分析に割ける時間が限られています。その中で、セグメントやカスタムレポートを駆使すると、必要なデータに素早くアクセスでき、分析効率が飛躍的に向上します。
- セグメントにより、自社のターゲットや重視するユーザー層の動きをピンポイントで追えるので、無関係なデータに惑わされなくて済みます。
- カスタムレポートにより、毎週・毎月のレポーティング業務を省力化できます。例えば経営層に報告したい指標セットを一つのレポートにまとめておけば、エクセルで加工する手間も減ります。
- カスタムレポートは自社のKPIダッシュボード的な使い方もできます。GAを開いたらそのカスタムレポートを見ればOK、という状態にすれば分析ハードルが下がります。
要するに、これらのカスタマイズ機能を使いこなすことで、「GAを自社専用の分析ツールに仕立てる」ことが可能になります。最初は難しそうに感じるかもしれませんが、一度設定してしまえばあとは非常に便利です。ぜひトライしてみてください。
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