Instagram広告の成功事例と失敗事例

記事の内容
Instagram広告はビジュアル訴求に優れ、商品ブランディングから直接的な購買促進まで幅広く活用されています。ここでは、Instagram広告運用の成功事例と失敗事例を紹介します。特に中小企業でも応用できるポイントに注目します。
成功事例:長文コピーと動画でCV数13倍(食品通販)
事例概要
とある食品の定期通販企業がInstagram広告で驚異的な成果を上げた事例です。従来は短い広告文で商品の特徴を伝えるオーソドックスなクリエイティブを使っていましたが、思い切ってユーザーの共感を呼ぶ長文コピーと動画素材に切り替えたところ、CPA大幅改善・CV数爆増を達成しました。
具体的な施策
- クリエイティブ変更: これまで一枚画像+簡潔なテキストで「◯◯ジュース発売中。初回○円OFF!」といった直球の広告を出していました。しかし反応が伸び悩んだため、新たに物語調の長文コピーを作成。冒頭で「実は…」と始まるユーザーの日常に寄り添ったエピソードを語り共感を喚起しました。また画像もスワイプ可能な複数枚配置や短い動画クリップを織り交ぜ、ユーザーの興味を引く構成に刷新しました。
- メッセージ訴求: 長文コピーの前半部分でユーザーの悩み(例: 市販ジュースの添加物が気になる 等)に触れ、「それを解決するためにこの定期便を利用し始めた」ストーリーを展開。後半で商品特徴とメリットを具体的に伝え、最後にCTA(購入はこちら)で締めました。ユーザー目線の語り口を意識し、硬い宣伝文句は避けています。
- 結果: クリエイティブ変更後、広告のエンゲージメント率とクリック率が向上。特にコンバージョン数(定期購入申し込み数)は26件/月から330件/月へと約13倍に増加し、CPAも1/3以下に改善しました。長文にもかかわらず最後まで読むユーザーが多く、刺さったユーザーはそのまま購入に至ったことが分かります。
成功のポイント
「ユーザーが共感できる文章だった」ことが最大の勝因と分析されています。Instagramでは凝ったビジュアルに目を奪われがちですが、テキストの内容次第でユーザーの心を動かせる好例です。特にこの事例では、あえて長めの文章でターゲットユーザーの悩みや希望に語りかけ、解決策として商品を提示するというコピーライティング戦略が功を奏しました。また動画や複数画像を組み合わせてリッチな情報提供をしたことで、ユーザーに行動を起こさせる説得力が増したと言えます。中小企業でも、自社商品の強みをユーザー目線で語り直すことで、大手に負けない訴求力を生み出せるという好例でしょう。

成功事例:ストーリーズ広告の投票機能でCPA大幅改善(セミナー集客)
事例概要
集客セミナーを開催している企業がInstagramストーリーズ広告のインタラクティブ機能(投票スタンプ)を活用し、参加申し込みあたりの獲得コストを1/4まで削減した事例です。
具体的な施策
- 広告フォーマット: Instagramストーリーズ上に出稿できる縦型動画広告を制作。講師がセミナー内容を簡潔に紹介する15秒動画に、「○○について学びたいですか? → はい/いいえ」という二択の投票スタンプを重ねて配置しました。ユーザーはストーリーを見る流れで気軽に投票できます。
- ターゲティング: 関連する業界アカウントをフォローしている人や、過去に類似セミナーのLPにアクセスしたことがあるユーザーに限定配信し、見込み度の高い層にリーチ。
- 結果: 広告を見たユーザーの多くが興味本位でも投票を行ったため、従来のリンククリック誘導より高いエンゲージメントを獲得。「はい」と答えたユーザーを自動でセミナー申込ページに誘導する設定としたところ、最終的にCPA(申込1件あたり費用)が従来比25%まで低減されました(=4分の1に改善)。アンケート参加というワンクッションのおかげで、関心の高いユーザーだけを的確にサイト誘導できたことが理由です。
成功のポイント
Instagramストーリーズ広告の持つ双方向性をうまく活かした施策です。ユーザーは広告に遭遇すると身構えますが、「はい/いいえ」を選ぶだけの簡単なアクションが提示されると、つい反応してしまいます。これにより広告とユーザーのインタラクションが生まれ、興味の度合いを計測しながら効率的に誘導できました。Instagramには他にもクイズスタンプやスワイプアップ機能(※現在はリンクステッカーに移行)など様々な仕掛けがあります。中小企業でもクリエイティブ次第でこうした機能を活用できれば、大きな予算をかけずとも高い成果を狙えるでしょう。

失敗事例:魅力が伝わらない静止画クリエイティブで失敗
事例概要
ハンドメイド雑貨を販売するある小規模ECショップがInstagram広告に初挑戦しましたが、クリエイティブ選定を誤ったために十分な効果を得られなかったケースです。
具体的な状況
予算も限られていたためプロのデザイナーに依頼せず、自作の静止画バナーで広告出稿しました。商品写真数点とテキストをコラージュした画像を作り、「ハンドメイド雑貨セール中!」というキャッチコピーを添えただけのシンプルな広告でした。しかしInstagramユーザーのフィード上では埋もれてしまい、クリック率が非常に低調。結果としてほとんど売上増につながらずキャンペーンは失敗に終わりました。
失敗の原因
クリエイティブが魅力不足だったことが大きな要因です。Instagramは視覚的なインパクトが命とも言えるプラットフォームですが、雑然と商品を並べただけの画像ではユーザーの関心を引けませんでした。またテキストも「セール中」というありきたりな内容で差別化要素がなく、スワイプして詳しく見たいと感じさせる訴求に欠けていました。さらにフォーマットもフィード投稿用の正方形画像1枚のみで、ストーリーズなど他の配置面も活用していなかったため、リーチ拡大の機会を逃していました。
回避策・学び
Instagram広告ではクリエイティブの質が結果を大きく左右します。魅力的な写真や動画を用意できない場合は、無理に広告予算を使わず準備を整えることも検討すべきです。例えば今回の雑貨店なら、商品の世界観を伝えるライフスタイル写真や、使用シーンの短い動画クリップを撮影して素材にすると良かったでしょう。また、テキスト(キャプション)は商品の独自性やメリットを訴えるものにし、「◯◯なあなたへ。世界に一つだけのハンドメイド雑貨はいかが?」などターゲットに響くメッセージを工夫すべきでした。加えて、フィードだけでなくストーリーズ枠にも適したサイズで広告配信すれば露出が増え成果も違ったはずです。中小企業の場合、予算を抑えようとしてクリエイティブ制作を手抜きしがちですが、それで広告効果が出なければ本末転倒です。可能な範囲でクリエイティブに投資し、魅力を最大限表現することが成功への近道と心得ましょう。

失敗事例:不適切な目的設定で成果に結び付かず
事例概要
フォロワーを増やしたいある企業アカウントがInstagram広告を出稿しましたが、広告マネージャ上での目的設定ミスによりフォロワーも増えずコンバージョンも得られない結果となったケースです。
具体的な状況
その企業は「とにかく認知拡大を」と考え、Instagram広告のキャンペーン目的をデフォルトの「リーチ(できるだけ多くの人に届ける)」に設定して出稿しました。派手な動画クリエイティブで確かに多くのユーザーに届いたものの、最終的なフォロワー増加数はわずか。サイト流入や売上など他の指標もほぼ動かず、広告費だけが消化されました。
失敗の原因
目的とKPIのミスマッチです。この企業の本来の目的はフォロワー増でしたが、「リーチ最大化」を選んでしまったためアルゴリズムはとにかく表示回数を増やすことに最適化されました。その結果、興味の薄い層にも表示され、エンゲージメントやフォローにはつながらなかったのです。例えばInstagram広告には「アプリインストール」「動画再生」など様々な目的が用意されていますが、適切なものを選ばないと配信最適化の方向性がズレてしまいます。このケースでは「フォロワー獲得目的」あるいは少なくとも「エンゲージメント目的」を選ぶべきでした。
回避策・学び
Facebook/Instagram広告のキャンペーン設定では、自社の求める成果に直結する目的を選択することが鉄則です。「なんとなく多くの人に見てもらえれば良い」とリーチ目的を選びがちですが、それではビジネス成果には直結しません。フォロワーを増やしたいならプロフィールへの誘導やフォローボタン最適化がなされる目的を、サイト誘導ならリンククリック最適化を、それぞれ選ぶべきです。中小企業の担当者は目的設定に不慣れな場合も多いですが、ガイドを確認したり代理店に相談したりして正しい設定を行いましょう。また運用途中で気づいた場合でも、速やかに目的変更やキャンペーン作り直しを行えば無駄な広告費浪費を防げます。この事例から、「広告運用の基本設定を疎かにしない」ことの重要性が学べます。

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