TikTok広告の成功事例と失敗事例

記事の内容
TikTok広告は短尺動画による圧倒的なリーチ拡大力が魅力です。特に若年層にリーチしたい中小企業には有望なプラットフォームですが、独特のカルチャーへの対応が求められます。ここではTikTok広告の成功事例と失敗事例をご紹介します。
成功事例:ハッシュタグチャレンジでUGC拡散(丸亀製麺)
事例概要
大手うどんチェーンの丸亀製麺がTikTokで仕掛けたハッシュタグチャレンジキャンペーンが大成功を収め、若年層でのブランド認知を飛躍的に高めた例です。中小企業ではないものの、その手法は参考になる部分が大きいため取り上げます。
具体的な施策
- キャンペーン内容: TikTok上でオリジナルハッシュタグ「#〇〇チャレンジ」を設定し、ユーザーに関連動画を投稿してもらうキャンペーンを実施。丸亀製麺では人気アニメとのコラボに合わせ「#花丸うどんチャレンジ」(架空のメニューを真似て踊る動画募集)を展開しました。NMB48のアイドルグループやTikTokインフルエンサーを起用し、お手本となるダンス動画を投稿。
- 広告で拡散後押し: TikTokの起動画面広告(アプリ起動時に全画面表示される広告)やインフィード広告を用いて、このハッシュタグチャレンジを幅広いユーザーに告知しました。「参加動画を投稿すると割引券が当たる」等インセンティブも提示し、視聴だけでなく投稿への参加を促しました。
- 結果: アイドル効果とユニークな企画内容でTikTok内でチャレンジ動画がブームに。一晩で180万人以上のユーザーにリーチしたとの報告もあります。ハッシュタグの総再生数は何億回にも上り、キャンペーン期間中の若年層来店客数も増加しました。社内的にもTikTok活用への理解が進み、その後のデジタル施策拡大につながったといいます。
成功のポイント
TikTokならではのUGC(ユーザー生成コンテンツ)拡散に成功した点です。ハッシュタグチャレンジはユーザーが自らコンテンツを作って拡散してくれるため、広告費以上の波及効果を生みます。この事例では、若者が楽しめる企画設定と有名人の起用で初動を作り、広告で燃料投下して一気に流行らせました。中小企業でも、「○○チャレンジ」「○○選手権」などユーザー参加型企画は十分可能です。例えば地域のスイーツ店が「#映えスイーツチャレンジ」を開催し、参加者にクーポン提供するなど、小規模な範囲からでもUGC拡散を狙えます。その際、TikTok広告で認知を広げると参加者数を確保しやすくなるでしょう。ポイントはユーザーが「やってみたい!」と思うお題設定と簡単な参加方法です。成功すれば広告主が用意する以上の多彩なコンテンツが生まれ、結果として大きな宣伝効果を得られます。

成功事例:クリエイターコラボ動画で売上170%達成(中堅アパレル)
事例概要
国内の中堅アパレルブランドがTikTokクリエイター(人気TikToker)とのコラボ動画広告を展開し、EC売上が前年比170%に伸びた成功例です。テレビCM素材と比較しても広告視聴率が6~7倍に達したとのことで、TikTokならではの表現が奏功しました。
具体的な施策
- クリエイター起用: ブランドイメージに合致する若手TikTokクリエイター数名を起用し、商品を取り入れたショートドラマ風動画を制作しました。ストーリー仕立てで商品をさりげなく登場させ、かつ若者に刺さるユーモアやトレンド要素を盛り込みました。視聴者が「続きが気になる!」と思う展開にし、シリーズ連作で投稿。
- 広告活用: 制作した動画をTikTok広告のSpark Ads形式で配信。Spark Adsはクリエイターの投稿を広告として流せるフォーマットで、オーガニック投稿としてのエンゲージメントも保たれます。これにより広告として配信しつつ、視聴者の「いいね」「コメント」「フォロー」なども引き出しました。
- 結果: このクリエイティブはユーザーに大好評で、広告にも関わらず高い完視聴率を記録。ある6秒視聴率ではテレビCM素材の6~7倍となり、ブランド好意度も向上しました。そのままECサイトへの誘導もスムーズに進み、キャンペーン期間の売上は前年同期間比170%を達成しました。TikTok広告が新たな売上ドライバーとして認識される結果となりました。
成功のポイント
TikTokでは「広告っぽさを出さない」ことが成功のカギです。この事例では、人気クリエイターの投稿コンテンツそのもののような動画だったため、ユーザーも拒否反応なく視聴しました。クリエイター起用により、プラットフォーム特有のノリや最新トレンドをうまく取り入れられた点も大きいです。中小企業が大物クリエイターと組むのはハードルが高いかもしれませんが、TikTokにはマイクロインフルエンサーも多数存在します。自社商品に共感してくれるフォロワー数万規模のクリエイターに商品提供し、PR動画を作ってもらうなど協業のチャンスはあるでしょう。その動画を広告配信すれば、自前で動画を一から作るよりもリアリティがあり結果に結びつきやすくなります。TikTokユーザー目線のクリエイティブ作りを意識することが高ROIへの近道です。

失敗事例:テレビCMの焼き直しでスルーされる
事例概要
ある中小企業が既存のテレビCM動画をそのままTikTok広告として出稿しましたが、ユーザーには全く響かず再生途中で離脱されてしまった失敗例です。TikTokの特性を無視したクリエイティブでは効果が出ないことを示しています。
具体的な状況
この企業は地方テレビで放映していた15秒CM(横型動画)を持っていました。TikTok広告でも「せっかくだから」と流用し、余白部分に背景を足して縦型に加工して配信。しかし内容は製品機能を箇条書きした真面目なもので、TikTokユーザーには退屈に映りました。結果、ほとんどのユーザーが3秒以内にスキップし、広告指標も軒並み低空飛行。コメント欄でも「長い広告うざい」とネガティブ反応が付く始末でした。
失敗の原因
TikTokという媒体への理解不足と準備不足です。まず画面比率の問題で、横型動画を無理やり縦にしても両端が余白では没入感が損なわれます。またテンポの遅い説明調のクリエイティブは、次々と面白コンテンツが流れてくるTikTok上では見てもらえません。冒頭数秒で掴めない動画はスキップされて当然です。さらにコメントへの対応もせず放置したため、ネガティブなフィードバックが蓄積し広告としても悪影響が出たと考えられます。
回避策・学び
TikTok広告においては専用に作り込んだ縦型動画が必須です。予算がなくともスマホ一つで撮影・編集できるのがTikTok動画の良いところなので、自社で工夫してネイティブな動画を用意しましょう。具体的には「最初の2秒でインパクトを与える」「テロップや音楽でリズムよく見せる」「尺は5〜15秒程度に収める」などのポイントがあります。また、いただいたコメントには可能な範囲で返信したりハートを付けたりすると、好感度が上がりエンゲージメントも伸びます。中小企業だからといってテレビCMの焼き直しで済まそうとせず、TikTokの文化に合わせたクリエイティブとコミュニケーションを実践することが重要です。それができなければ、極端な話広告を出さない方がマシというくらい成果に差が出ます。

失敗事例:ターゲットミスで訴求が空回り
事例概要
学生向けの商品を扱うECショップがTikTok広告を使ったものの、ターゲティングを誤り全く関係のない層に配信してしまい、費用対効果ゼロに終わったケースです。
具体的な状況
若者に人気のTikTokだからと、特に細かい設定もせず広範囲に広告を配信しました。商品は10代後半〜20代前半女性が主な顧客層でしたが、年齢も性別も指定しなかったため30〜40代男性などにも表示されていました。当然ながらクリック率は極めて低く、表示されたとしても興味を持たれずスルー。広告のオークション単価も上がってしまい、わずかなクリックに対して高い広告費を払う羽目になりました。
失敗の原因
ターゲット選定の怠慢です。TikTok広告でも基本は他のSNS広告と同様、配信対象をある程度絞ることが必要です。この例では「TikTok=若者ばかり」と思い込み詳細設定をサボった結果、無関心層に大量に露出してしまいました(近年TikTokのユーザー年齢層は拡大しています)。またTikTokのアルゴリズム任せにしすぎて、広告の学習が進む前に予算を使い切ってしまった点も敗因です。
回避策・学び
TikTok広告でも、年齢・性別・興味関心など基本的なターゲティングオプションは活用しましょう。特に中小企業は無駄なインプレッションに割ける予算がありません。初期は広めに設定しても、配信結果を見ながら徐々に不要な層を除外するなど調整が必要です。また、可能であればコンバージョンポイントを設置して、TikTok Pixelによる最適化を行うことも有効です。限られたターゲットへの配信なら、少額予算でも十分なリーチと成果が得られます。TikTok広告だからといって「誰にでも刺さるだろう」と油断せず、狙うべきは誰かを明確にして運用する基本を忘れないようにしましょう。

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