X(Twitter)広告の成功事例と失敗事例
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記事の内容
X(旧Twitter)は拡散力とリアルタイム性が魅力のSNSです。その広告運用ではバズを生むような仕掛けや迅速な情報発信が効果を発揮します。一方で炎上リスクなど注意点もあります。ここではX広告の成功事例と失敗事例を紹介します。
成功事例:ユニーク商品のプロモーションでEC売上2倍(居内商店)
事例概要
老舗の着物店「居内商店」が、X広告を活用して自社ECサイトの売上を飛躍的に伸ばした成功事例です。同店はオリジナル柄の着物を1点ずつオーダーメイドできるサービス「ゴフクヤサン・ドットコム」を運営していますが、競合ECサイトの増加で埋もれがちになっていました。そこでX広告でユニークな商品デザインを積極発信したところ、EC経由売上が2倍にアップしました。
具体的な施策
- 話題性のあるツイートを広告配信: 同店のXアカウントでは以前から「猫どくろ柄の着物」などユニークな和柄デザインを投稿すると大きな反響を得ていました。そこで、そのような人気ツイートをプロモツイート広告として配信することにしました。あらかじめ興味関心ターゲティングで「和服・着物」に関心を持つ層や、手芸・アート好きのユーザーを抽出し、その人々のタイムラインに自社ツイートが露出するよう設定しました。
- ユーザーの興味を引くクリエイティブ: 広告に使用したツイートには商品の写真画像とともに「お客様リクエスト品。相馬の古内裏紋入り着物、猫どくろ柄で作ってみました。よろしければどうぞ。」といったカジュアルな説明文が添えられていました。商品購入ページへの短縮URLも含め、複数の関連ハッシュタグ(#妖怪 #髑髏 など)を付与。二次元カルチャーやレトロ趣味に興味のあるXユーザーのタイムラインで目に留まりやすい工夫をしています。
- 結果: 広告配信により、通常はフォロワーしか見ないようなツイートが幅広い層に拡散されました。ユニークなビジュアルが受け、新規ユーザーからのプロフィールアクセスやサイト流入も増加。それが直接注文につながり、X経由のEC売上が以前の2倍に伸びました。また広告からフォローしてくれるユーザーも多く、アカウントのフォロワー数増加という副次効果も得ました。
成功のポイント
この事例では、「バズりそうなコンテンツ」を見極めて広告に乗せた点が秀逸でした。Xでは共感を呼ぶツイートは広告でブーストすることでさらに大きな反響を生むことがあります。居内商店の場合、自店の強みである独創的な着物デザインがまさにSNS映えし話題性が高かったため、広告という形で種火を大きく育てることに成功しました。中小企業でも、自社の商品・サービスのユニークな点をクローズアップし、それに興味を持ちそうな層へ広告配信すれば、拡散と売上の両方を獲得できる可能性があることを示しています。X広告は必ずしもフォロワー獲得だけが目的ではなく、このように直接のEC売上増にもつながる施策となり得るのです。

成功事例:コラボキャンペーンで4500リツイート獲得(日東紅茶)
事例概要
老舗紅茶ブランドの日東紅茶(運営:三井農林株式会社)が、人気ゲームとのコラボ商品をX広告で告知し、約4,500件ものリツイートを獲得して話題化に成功した事例です。コラボ企画自体の魅力もさることながら、X広告の拡散力を上手に活かして若年層へのリーチを広げました。
具体的な施策
- コラボ企画の告知ツイートを広告: 日東紅茶は2020年にアニメ作品「刀剣乱舞-花丸-」とコラボした紅茶パッケージを発売しました。その際、公式Xで発売開始を告知するツイートを投稿し、このツイートをプロモーション広告として配信しました。ターゲットは刀剣乱舞ファンだけでなく、紅茶・カフェ好きの若年女性などにも広げ、潜在顧客にもリーチするよう設定しました。
- ツイート内容: 「本日、公式ネットショップで予約受付開始!オリジナル缶とコースターのセットです。ご予約はこちら⇒URL #日東紅茶 #刀剣乱舞」といった内容で、商品の画像も添付されていました。ファンアカウントにも発見してもらいやすいよう、作品公式ハッシュタグ(#とうらぶ 等)を付けた点も拡散を後押ししました。
- 結果: 広告配信の効果もあり、この告知ツイートは約4,500リツイートという大きな反響を呼びました。X上でコラボ商品の存在が一気に広まり、若年層での日東紅茶ブランド認知度アップにつながりました。その後も同社は新企画発表時にX広告を積極活用し、話題づくりに成功しています。
成功のポイント
コラボ企画×X拡散の好例です。もともと話題になりやすいコンテンツ(人気ゲームとのコラボ)に、X広告で火力を注いだことで一気にトレンド化しました。特にハッシュタグの戦略的活用や、ファン心理を刺激するビジュアル訴求が奏功しています。中小企業でも、自社商品と相性の良い他社コンテンツやトレンドと組み合わせてキャンペーンを行う際は、X広告で告知を強化することでより大きな効果が得られるでしょう。コラボ相手のファン層にもリーチできるため、新規顧客開拓にも有効な手段です。

失敗事例:炎上リスクを考慮しないキャンペーンで批判拡散
事例概要
ある飲食チェーンがX上で行ったキャンペーン告知が、不適切な対応により炎上してしまい、広告展開も中止に追い込まれた失敗例です。X広告は拡散力が高い反面、ネガティブな内容も一瞬で広がってしまうリスクが露呈しました。
具体的な状況
このチェーンは新メニュー発売を記念し、フォロー&リツイートで割引券が当たるキャンペーンを計画。キャンペーンツイートを作成しX広告で大々的に拡散しました。しかし、ツイート本文中の表現に一部ユーザーが不快感を示し抗議リプライが殺到。担当者が慌てて公式アカウントで謝罪したものの、一連の流れがまとめサイト等にも取り上げられ炎上状態となりました。最終的に広告配信は停止し、キャンペーン自体も縮小せざるを得なくなりました。
失敗の原因
SNS特有の炎上リスクへの認識不足です。Xでは企業アカウントの発言が想定外に解釈されたり、一部の層から反発を買ったりすると、批判が一気に拡散します。このケースでは広告で露出を増やしたぶん炎上の火種も瞬く間に広がりました。また批判に対する初動対応も後手に回り、事態を悪化させてしまいました。X広告は良くも悪くも多くの人の目に留まるため、発信内容への配慮が欠かせません。
回避策・学び
X広告を実施する際は、クリエイティブや文章について普段以上に細心の注意を払いましょう。社会的にセンシティブな表現や誤解を招く言い回しがないか、事前に複数人でチェックすることが重要です。また万が一炎上の兆候が見えたら、速やかに広告配信を停止し公式見解を出すなど初動対応を迅速に行うべきです。中小企業の場合でも地域コミュニティ内で炎上が広がる可能性はあり、ブランドイメージを損なうリスクがあります。XをはじめSNS広告運用には「拡散してほしい情報」と「拡散してほしくない事態」の両刃があることを念頭に置き、リスクマネジメント込みで戦略設計する必要があります。

失敗事例:目的なく露出を増やしただけで成果ゼロ
事例概要
中小ECサイトがX広告でフォロワーとサイト訪問を増やそうと試みましたが、施策の目的があいまいなままプロモツイートを実施してしまい、結果的に何のKPIも向上しなかった例です。
具体的な状況
「とりあえず知名度を上げたい」との考えから、自社商品の写真を貼ったツイートを作成し「いいねやRTお願いします!」と投稿。それを数万円の予算で広範囲にプロモーションしました。確かにインプレッション(表示回数)は数十万と伸び、多くのユーザーのタイムラインに出現しました。しかし肝心の反応は薄く、いいね・RTとも僅少。フォロワー数もほぼ変化なく、サイト流入や売上に至っては全く増えませんでした。
失敗の原因
施策のゴール設定が曖昧で、広告の目的やターゲティングが散漫だったことです。何をもって成功とするかを決めずに露出だけ増やしても、結局得たい成果(フォロワー増や売上増)は得られません。この例では「知名度アップ」とふんわり考えていたため、ターゲット選定も広すぎて刺さらない層にまで配信されてしまいました。また「いいねお願いします」という投稿もユーザー視点ではメリットがなく、エンゲージメントを生まなかったことも要因です。
回避策・学び
SNS広告運用では、具体的な成果目標を持つことが重要です。フォロワーを○人増やす、サイトのPVを○%上げる、など明確な目標をまず設定しましょう。その上で、その目標を達成するために誰に何を訴求するかを決めます。「なんとなく知ってもらいたい」で広範囲に出すのではなく、「この商品に興味を持ちそうな20代女性にフォローしてもらいたい」等具体化することで、ターゲティングとクリエイティブが絞られ効果が上がります。X広告の場合、キャンペーン目的(フォロワー獲得、サイト誘導など)を適切に選ぶことも肝心です。闇雲にリーチ目的で出稿してもフォロワーは増えません。中小企業の限られた予算を有効に使うためにも、「KPI直結型の広告運用」を常に意識しましょう。目的なき広告はお金を燃やすだけ、という教訓です。

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