YouTube広告の成功事例と失敗事例

記事の内容
YouTube広告は動画によるリッチな表現力で、認知獲得から購買促進まで幅広く活用できます。他のSNSとは異なる検索機能も備え、長期的なマーケティング資産にもなり得ます。ここではYouTube広告の成功事例と失敗事例を紹介します。
成功事例:専門的ニッチ商材で問い合わせ40倍(製造業)
事例概要
中小製造業者が自社の特殊製品(横引きシャッター等)を広めるためにYouTube動画広告を活用し、ターゲットである建築業界への認知を飛躍的に向上させた事例です。結果として製品に関する問い合わせ件数が従来比40倍近くに増え、営業に結び付いたといいます。
具体的な施策
- 教育型コンテンツの作成: この企業は、自社の特殊シャッター製品を建築設計の段階で組み込んでもらうことが売上拡大の鍵でした。そこで、建築士や工務店に向けて「横引きシャッターの利点や施工方法」を解説する動画シリーズを制作。専門的な内容を分かりやすく図解し、実際の施工現場の映像も交えた5分程度の動画に仕上げました。
- YouTube広告ターゲティング: 作成した動画をTrueViewインストリーム広告として配信。ターゲットはYouTube上で建築・リフォーム関連の動画(例: 建築講座、DIY動画)を視聴しているユーザーや、Googleのカスタムインテント機能で「建築資材 価格」「シャッター 種類」等の検索履歴があるユーザーに設定しました。専門領域ゆえ母数は大きくありませんが、関心の強い層に絞って配信することで無駄を省いています。
- 結果: 当初は認知目的でしたが、動画内で紹介した問い合わせ先URLから資料請求や問い合わせが次々と寄せられるようになりました。新規問い合わせ件数は従来の約40倍に跳ね上がり、営業担当者が追い付かないほどだったと言います。YouTube上で動画再生自体も多くされ、関連業界内での知名度アップ効果も大きく貢献しました。
成功のポイント
ニッチなBtoB商材でも、YouTube広告を使えば狭く深くターゲットにリーチできることを示した好例です。検索連動型のカスタムターゲティングにより、ピンポイントで潜在顧客層に動画を届けられました。また動画の内容自体が専門家にとって有用な情報提供となっており、単なる広告を超えて視聴価値の高いコンテンツになっていた点も成功要因です。YouTube広告はスキップ可能なTrueView形式で配信すれば興味ない人は5秒でスキップしますが、逆に興味ある人は最後まで見てくれます。この企業は必要な人に必要な情報を提供したため、高いエンゲージメントを得て問い合わせにもつながりました。中小企業でも、自社の専門性を活かした動画コンテンツを作成し、適切な層に配信すれば、大企業に負けないリード獲得が可能になるでしょう。

成功事例:ブランディング動画で指名検索が増加(サービス業)
事例概要: 地域密着のサービス業(例: 地域医療クリニック)がYouTube広告向けにブランディング動画を制作し配信したところ、地域住民からの認知が高まり、「○○クリニック 予約」など指名検索数が前年比200%超となった事例です。直接のコンバージョン測定が難しい業種ですが、YouTube広告の間接効果をうまく捉えた成功例です。
具体的な施策
- 心に訴えるストーリー動画: クリニックの理念やスタッフの人柄が伝わる2分程度のドキュメンタリー風動画を制作。患者役の出演者がクリニックで親身な治療を受けて元気になる様子を描き、最後にロゴとスローガンを表示。「地域の皆様の健康を守ります」とメッセージを込めました。プロダクションに依頼し高品質に仕上げています。
- YouTube広告で広範囲に露出: 半径○km圏内の地域ターゲティング+30~60代の男女(主要な患者層)を設定し、YouTubeのTrueViewインストリーム広告として配信しました。地域の方なら興味を持ちそうな生活情報系やニュース系チャンネル動画に絞り、頻繁に広告が出るよう入札単価も調整してリーチと頻度を確保しました。
- 結果: 配信期間中、クリニック名の検索クエリ数が前年比大幅アップし、ホームページへのアクセスも増えました。特に動画視聴をスキップせず30秒以上見たユーザー層の中から多数の予約問い合わせがあったことが、Googleアナリティクス等の分析で示唆されました。地元での認知度・信頼度が高まったことで、長期的な患者数増加にも寄与したとされています。
成功のポイント
YouTube広告は直接のクリックやCVだけでなく、ブランド想起を促し後日の検索や来店を誘発する効果があります。この事例では心に残る動画を見せることで視聴者の印象に残り、後日必要な時に指名検索してもらうことに成功しました。中小のサービス業にとって、地域で名前を覚えてもらうことは広告の重要な目的です。テレビCMほど予算をかけずとも、YouTube広告で同様のブランディング効果が得られることを示しています。ポイントは質の高い動画制作と地域ターゲティングの組み合わせです。限られたエリアに集中的に露出することで、「最近YouTubeでよく見るクリニック」として浸透させました。中小企業でも動画制作のハードルは下がっており、スマホ動画でもアイデア次第で心を打つ作品は作れます。ブランディング目的のYouTube広告、ぜひ検討してみる価値があります。

失敗事例:長すぎる広告で視聴離脱が増加
事例概要
ある企業がYouTube広告に3分を超える長尺動画を使用したところ、大半の視聴者が途中離脱し肝心のメッセージまで届かないという失敗をしました。動画の出来は良かったものの、「広告動画」としては適切な長さでなかった例です。
具体的な状況
自社のドキュメンタリー映像(5分弱)をそのまま広告に流しました。スキップ可能設定でしたが、5秒後以降の視聴継続率が極端に低く、途中までしか見られないため最後のCTA(問い合わせ誘導)がほぼ視聴されない状態に。広告視聴単価も高くつき、投下予算に見合う成果が得られませんでした。
失敗の原因
広告尺のミスマッチです。TrueView広告ではユーザーは5秒経てばスキップできます。長尺動画でも興味を引き続けられれば問題ありませんが、一般的に数分の広告を最後まで見るユーザーは稀です。特にYouTubeで視聴中の本編コンテンツがある場合、長い広告は敬遠されます。この企業はメッセージを盛り込みすぎて動画を短く編集できず、その結果伝えたい要点をほとんど見てもらえない形になりました。
回避策・学び
YouTube広告用の動画は長くても30秒~1分程度に収めるのが無難です。伝えたいことが多い場合でも、興味を持った人だけが見られるよう続きは自社チャンネルにアップし、本編はショート版で広告にする手法があります。またどうしても長尺にするなら、冒頭5秒に全てを凝縮するくらいの工夫が必要です。例えば核心的なシーンやキャッチコピーを最初に出し、スキップされても要点が伝わる構成にします。この事例では、5分動画をスキップ不可の15秒バンパー広告や1分ダイジェスト広告に再編集して組み合わせるなど、視聴完了されやすい形にすべきでした。中小企業では動画一本作るのにもコストがかかるため、つい流用したくなりますが、広告フォーマットに合わせた編集はやはり必要です。視聴者の立場になって、「最後まで見たい」と思える長さかどうか検討しましょう。

失敗事例:ターゲティングを絞らず予算浪費
事例概要
自社ECを運営する企業がYouTube広告での商品PR動画を配信しましたが、ターゲティング設定を粗くしすぎたため不特定多数に垂れ流す結果となり、費用対効果が低かった例です。
具体的な状況
幅広い層に知ってほしいとの考えから、地域や年齢は指定したものの興味関心や視聴コンテンツの絞り込みを行わず配信。すると子供向けアニメ動画を観ているユーザーや自社商材と無関係な層にも広告が表示され、多くはスキップ。広告表示回数だけは増えたもののコンバージョンはさっぱりでした。
失敗の原因
ターゲット戦略の欠如です。YouTube広告ではGoogleの膨大なデータから細かなターゲティングが可能ですが、それを活用しなければ無駄撃ちになります。この企業は誰に届けるべきかを深く考えず、とりあえず視聴回数だけ追求してしまいました。そのため関心がない人ばかりに見られて(スキップされて)しまい、肝心の興味ある層には広告予算が回らなくなってしまいました。
回避策・学び
ペルソナ設定とターゲティング調整が大切です。自社商品の典型的な顧客像を描き、その人が視聴していそうなYouTubeチャンネルや検索キーワード、興味関心カテゴリに広告を出すようにします。例えばDIYグッズならDIY系動画や「工作 やり方」を検索した人に、化粧品なら美容系チャンネルや「メイク コツ」を調べた人に、といった具合です。幸いYouTube(Google)はキーワードやトピックターゲティングが充実しているので、それらを試しつつ反応を見て最適化します。中小企業では広告予算に限りがあるため、闇雲なマス配信は避け、確度の高い見込み客にリーチする戦略を徹底しましょう。必要なら地域・年齢もさらに細かくセグメントし、広告グループごとにクリエイティブを変えるなど、無駄を極力省く工夫が成果につながります。

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